女性労働をめぐる運動と表現―戦間期日本のダイナミズムと連帯への模索に着目して
Project/Area Number |
22K12636
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 80030:Gender studies-related
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
水溜 真由美 北海道大学, 文学研究院, 教授 (00344531)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀口 まか 龍谷大学, 文学部, 准教授 (10554082)
辻 智子 北海道大学, 教育学研究院, 准教授 (20609375)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
|
Keywords | 女性労働 / 労働運動 / 文化活動 / ジェンダー / 戦間期 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、過渡的状況にあった戦間期日本の社会・文化のダイナミズムを視野に入れながら、「女性労働者をめぐる運動」と「女性労働者をめぐる表現」について研究する。 1)女性労働を対象とする研究・社会事業や女性労働者の組織化に携わった女性たちの活動について考察し、女性労働者の姿をあぶり出すと共に、女性労働者をめぐる女性たちのネットワークや連帯の回路を明らかにする。 2)文学作品に描かれた女性労働者像の分析から女性労働者の姿を捉え直すと共に、労働者階級出身の女性による文学作品や手記について考察し、その表現と自己認識について検討する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、戦間期における女性労働者をめぐる運動と表現について、領域横断的に研究を行い、最終年度には論文集を出版することを目的としている。2022年度は、研究協力者(広瀬玲子・岸伸子・上戸理恵)を含む6名のメンバーが、一度ずつ文献報告もしくは研究報告を行い、全体の枠組みについて意見交換を行いながら、各々の研究課題を定めると共に、今後の研究の方向を探った。研究を重ねる中で、戦間期に女性労働の問題に取り組んだ多様な女性文化人の世代的な共通性と相互の接点やネットワークについても、認識を深めることができた。2022年7月16日には、女性史研究者の鈴木裕子氏の講演会「女性労働者の解放を志向して、女性労働者の理論を紡ぐ―主に山川菊栄における女性解放の思想・理論への考察」を開催した。鈴木氏の著書『忘れられた思想家 山川菊栄 フェミニズムと戦時下の抵抗』(梨の木舎)についての事前読書会も含めて、山川菊栄による女性労働をめぐる先進的な取り組みについて学んだ。3月には、倉敷・岡山・大阪への研修旅行を行い、記念館の見学、資料調査、地元の研究者との交流などを通じて、戦前の繊維産業における女性労働について考察を深めた。倉敷紡績の福利厚生や文化事業と労働環境との関わりについても学ぶことができた。年度末には、対面による研究会を開催して、最終年度の出版企画を見据えて、各々が執筆する論文の構想を発表し、全体の枠組みについて議論を行った。 出版による主な成果としては、水溜が「中本たか子の洋モス関連の小説を読む:「歴程」、「早春」、『モスリン横丁』ほか」(『北海道大学文学研究院紀要』167号、2021年7月)において、中本が東洋モスリンにおける自身のオルグ活動の体験をふまえつつ、繊維工場で労働運動にコミットする女性たちの姿を描いた作品について概観した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した研究の目的と研究実施計画に沿って着実に研究が進んでいる。各メンバーが研究課題全体の枠組みをふまえた実現可能な研究課題を確定し、最終年度の出版企画の構想が具体化している。
|
Strategy for Future Research Activity |
2023度は隔月のペースで研究会を開催し、研究報告・議論を重ねながら、各々の研究を進展させる。共同で考察を深めたい点としては、各々研究においてとりあげる女性たちのライフヒストリーをふまえながら、世代的な共通点や人的な接点・ネットワークを浮かび上がらせること、女性としての経験の共通性と共に、階層移動や階層間の連帯と反目など、ジェンダーと階級の複雑な関係性を掘り下げることである。また、戦間期に流行した「職業婦人」という言葉も意識しつつ、女性が従事した様々な職業間の関係性についても目を向けたい。これらの点をふまえながら、戦間期に、女性による女性労働をめぐる運動、女性労働についての研究、女性労働をめぐる表現が、直接的・間接的に結びつきながら進展したことを明らかにしたい。そうしたダイナミックな磁場を実感するために、秋頃に墨東地域のフィールドワークも構想している。 各メンバーの研究課題は以下のとおりである。水溜は、松田解子の自伝的な鉱山小説における女性労働の表象について研究する。辻は、関東紡織労組沼津支部における組合活動と女性労働者の表現について研究する。亀口は、奥むめおのセツルメントの活動における女性労働者の協働の動きについて研究する。広瀬は、三瓶考子と丸岡秀子について、女性労働をめぐる調査・研究活動について研究する。岸は、桟敷ジョセフィン(よし子)について、倉紡万寿工場争議の女子寄宿舎・教化係としての活動について研究する。上戸は、佐多稲子の初期作品における労働とジェンダーの関係について研究する。
|
Report
(1 results)
Research Products
(7 results)