Project/Area Number |
22K12637
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 80030:Gender studies-related
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
池田 弘乃 山形大学, 人文社会科学部, 教授 (80637570)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2024: ¥130,000 (Direct Cost: ¥100,000、Indirect Cost: ¥30,000)
Fiscal Year 2023: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2022: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
|
Keywords | アセクシュアル / 法理論 / 法哲学 / セクシュアリティ / クィア理論 / ロマンティック |
Outline of Research at the Start |
現代社会に生きる人間にとってセクシュアリティとは一体何であるのか、そしてセクシュアリティを考えることは法理論にどのような影響を与えるのかという問いについて、「アセクシュアル」という言葉を手掛かりに考察する。特に、ロマンティックな人間関係のあり方や友愛等と性愛による人間関係との異同を検討することを通じて、ジェンダーに関する法理論におけるセクシュアリティについての認識の深化をはかる。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、クィア理論の知見がジェンダー・セクシュアリティに関する法理論にどのような寄与をなすことができるのかを探求している。特に現在の社会通念を徹底的に問い直す視点としてアセクシュアルという言葉に着目し、現代社会において「多様な性」の社会的包摂が議論されるとき、そこになおも存在する見えにくい前提が何であるのかを明らかにするとともに、これがどのような法理論上の問題につながっているのかを探っている。それらを通じて、人の性的アイデンティティについての新たな言語化の端緒を切り開くことを試みると共にジェンダーに関する法理論におけるセクシュアリティ認識の深化をはかることが本研究の目的である。 研究計画第2年目となる2023年度は、昨年度の関連文献の探査研究によって精査された知見を前提に、アセクシュアルという視角から、既存の法制度が人間について暗黙の裡に前提としているものを洗い出す作業を行った。 それとともに、そこにどのような実践的な課題が存在するのかをも考察した。現在でも、アセクシュアルという言葉について実定法上言及されることがない訳ではない。しかしそれは仮に言及されることがあったとしても、添え物として一言触れられるだけのことが多い(例えば、渋谷区「男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」〔2015年〕における「無性愛」という文言)。 それだけに、アセクシュアルであることが実際にどのような形で当事者の差別や不利益につながっているのかを可視化することを重視し、「差別は存在しせず、当事者の私的な苦痛が問題になっているに過ぎない」という「解釈」が前提とするバイアスを剔抉することが目指された。これらの成果について、関連する研究会で報告し、諸分野の研究者からの批判を仰ぐ機会が得られた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通り進めることができた。様々な研究報告の機会を得ることができ、有益な意見交換を多く行うことができたことも研究の進展を支えるものとなった。また研究成果の一部を公表する機会を得ることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究計画の最終年度となる2024年度は、2年目までに発表した諸論考と、それ以前に公刊したクィア理論関係の論考とを有機的に再構成して公刊する作業が研究の進め方の軸となる。この作業にあたっては、近年、幸いなことに多角的な見地から外国語文献、邦語文献(重要な外国語文献の翻訳を含む)が続々と登場していることに鑑み、適宜、関連文献の収集と分析の作業も組み込みつつ、研究の最前線を的確に把握しながら進めていきたい。
|