Project/Area Number |
22K12695
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 90010:Design-related
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Research Institution | Kurashiki City College |
Principal Investigator |
松内 紀之 倉敷市立短期大学, 服飾美術学科, 教授 (50389334)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 瀬戸内地域 / 香川県 / 岡山県 / 山車形態 / 形態伝播 / 木工技術伝播 / 山車 / 瀬戸内 / 島伝い / 祭礼 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、祭礼道具である山車(だし)木構造形態に見る木工技術伝播から人的ネットワークを窺い知ろうというものである。ただし、ここで言う人的ネットワークとは、本四連絡橋開通以前から続く島伝いに見る人々の繋がりであり、島伝いとは、本州側、岡山県倉敷市児島から四国側、香川県坂出市に至る経路である。木工技術伝播から人的ネットワークを見てゆくことは、一面的な見方であるかも知れない。しかしながら本地域は、塩飽大工の技術が今も一般木造住宅に残る地域であり、木工技術伝播はきわめて大きい人的交流の一面を伝える。加えて本研究では、木工技術伝播に留まらない島伝いに見る文化的交流・経済的交流も発掘し、整理してゆく。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究について、これまで “さかいで大橋まつり”に曳行された山車、“宇多津太鼓台祭り” の太鼓台、“観音寺ちょうさ祭り”のちょうさ、 “金刀比羅宮氏子祭”太鼓台、“白峰宮秋祭り”の太鼓台、総社神社の太鼓台とだんじり、“笠島まち並ふれあい祭” の太鼓台、“乙島祭り”千歳楽、小豆島“池田亀山八幡宮”太鼓台、佐柳島太鼓台、岩黒島などの山車について形態把握を行った。 瀬戸内地域の山車は、“太鼓台” “だんじり” “ちょうさ” “千歳楽(せんざいらく)”と呼ばれる形態が存在し、これらの形態と呼称の関係は、他の地域と同様、幾分曖昧なところがある。本研究は、瀬戸内海を挟んで岡山県側と四国側の山車形態の関連性を見てゆくものであるが、これら両地域に江戸時代より、関西地域のだんじりやふとん太鼓と呼ばれる山車形態の影響を色濃く存続していることが分かった。しかしながら勿論、瀬戸内海を挟んで岡山県側と四国側における山車形態の関連性も見ることができた。 例えば千歳楽は、高梁市以南の備中地域で広く分布するが、“岡山県倉敷市玉島の乙島祭り”千歳楽は、文政3(1820)年、伊予国で中古の太鼓台が売り出されていたものを、購入したとの記述が、『乙島祭り写真集』に記載されている、とのことを知り得た。 小豆島“池田亀山八幡宮”太鼓台については、形態把握のみならず、組み立て過程についても、現地調査・動画撮影を行うことができた。この太鼓台は、舁き棒2本、キャスターは付けられていたが、基本的に舁き山であった。調査時は18人の舁き手によって巡行されていた。舁き棒2本は、山台を挟み込む形で互いを引き寄せるように縄が掛けられる。九州の山車でも用いられている縄の取り付け方法であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展している。ただし、2022年度はコロナ感染症による出張制限や祭礼自粛の影響も少々あり、画期的に進めることができた、という状況にはならなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策は次の(1)~(3)のとおりである。 (1)四国香川の主要な山車:さぬき市多和神社太鼓台、坂出市総社神社太鼓台、宇多津町宇夫階神社太鼓台、琴平町金刀比羅宮ちょうさ、観音寺市琴弾八幡宮太鼓台、三豊市菅生神社 太鼓台、岡山の主要な山車:倉敷市乙島祭り 千歳楽および、だんじり、津山市津山祭りだんじり、倉敷市鴻八幡宮だんじり、真庭市勝山祭りだんじり、真庭市久世祭りだんじり、瀬戸内海島嶼部(香川県)の山車:佐柳島太鼓台、本島千歳楽、以上に挙げた山車の形態調査・把握はもとより、さらに主要な山車5~6基を選抜し、シーズンオフの収納形態、組み立て過程、縄の用い方、ディテール・全体を含めた写真撮影動画撮影を含めた調査を実施、図面作成および、3D-CGソフトによるモデリングを行う。 (2)絵画史料分析:博物館や神社が所有する屏風絵、奉納絵馬を撮影し、描かれた山車を中心に、画像データを分析する。 (3)上記絵画史料の他、調査対象神社・祭礼および、山車に係る文献調査を実施する。すなわち、市販出版物収集の他、各市町村教育委員会、神社、新聞社より資料提供を受ける。 なお、研究計画の変更あるいは研究を遂行する上での課題として、特に島嶼部の山車存続状況がある。現存祭礼・山車が見られず、廃絶している場合であっても可能な範囲で、資料収集・聞き取り調査を実施してゆく。
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