Project/Area Number |
22K12787
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 90110:Biomedical engineering-related
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
吉田 哲 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任講師 (00365438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畑 純一 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, 客員研究員 (00568868)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | コネクトーム / MRI / トラクトグラフィー / 造影剤 / AAVベクター / ニューロン |
Outline of Research at the Start |
脳は、ニューロンとよばれる細胞が神経回路を形成することにより、複雑な情報処理を行うことが可能になっている。現在、この神経回路をすべて明らかにすることが、脳研究の重要な命題となっている。MRIは、これを行うための非常に有用なツールであるが、ニューロンを直接観察できないため、現在は水分子の動きでニューロンの形体を推測している。本研究では、ニューロンにMRI造影剤を取り込む遺伝子を発現させることにより、その形体を直接観察する方法を確立する。
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Outline of Annual Research Achievements |
近年、コネクトーム研究とよばれる、脳の神経回路の走行をすべて決定することにより、脳機能解析の礎とする研究が世界中で活発に行われている。この研究において、MRIをもちいてニューロン内部の水分子の動きを計測し、そのデータをもとに軸索走行を擬似的に可視化するトラクトグラフィーは強力なツールであるが、実際のニューロンの形態との比較は行われておらず、その正確性は証明されぬまま現在に至っている。そこで、本研究の目的は、トラクトグラフィーとニューロンの形態の比較を可能とするために、MRIをもちいてニューロンそのものの形態を計測する方法を確立することとする。 これまで、MRIをもちいてニューロンを観察できなかったのは、ニューロン特異的に取り込まれる造影剤が存在しなかったためである。本研究では、「造影剤を細胞に取り込ませる遺伝子」をニューロン特異的に発現させることにより、MRIによるニューロンの検出を可能にする。また、MRIでニューロンを可視化した脳は、その後、組織学的解析を行い、その正当性を評価する。そのために、「MRI造影剤を細胞に取り込ませる遺伝子」を発現させる細胞には、同時にGFPなどの遺伝学的マーカーを同時に発現させる。これら2つの遺伝子を発現するAAVベクターを作製し、マウスの脳にインジェクションし、その後、そのマウスに造影剤を投与した上でMRIで撮像し、そのマウスの脳を免疫組織学的に解析してどのニューロンに上記遺伝子が発現しているかを調べる。そして、MRI画像と免疫組織学的解析を行った画像を比較を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者は、まず、MRI造影剤ガドリニウムを細胞内に取り込む陰イオントランスポーターSlco1a1遺伝子のクローニングを行った。次に、この遺伝子とGFPを同時に発現する発現ベクターを作製し、培養細胞にトランスフェクションし、その細胞にガドリニウムを加え、MRI撮像を行うことにより、GFPを発現する細胞がガドリニウムを取り込むことを確認した。 また、別のMRI造影剤SPIO(ビオチン化されたもの)を細胞表面に結合させることができる人工遺伝子として、「細胞表面エピトープ・ディスプレイシステム」を用いてストレプトアビジンを発現させることを計画していた。この遺伝子とGFPを両方発現するコンストラクトを作製し、培養細胞に豚ラスフェクションしたところ、細胞内にGFPの凝集体が形成されていた。タンパク質の高次構造形成の過程で、細胞外に出られなかったことが予想される。 そこで、本研究のこれ以降の実験は、ガドリニウム造影剤を使用した系のみ行うこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
MRI造影剤を取り込む遺伝子およびGFPを発現するコンストラクトを作製することができたので、これを発現するAAVベクターを作製し、マウスの脳にインジェクションする。このマウスに、MRI造影剤を投与し、MRI撮像を行い、ニューロンを可視化する条件を検討する。 MRIで直接ニューロンを可視化できる条件が整ったら、撮像後のマウスの脳を固定し、組織学的解析を行い、AAVベクターがインジェクションされた位置を検討する。このMRI画像と組織学的解析像を比較することにより、MRIが撮像したニューロンが本当にニューロンであるかどうかを検討する。 さらにMRIで撮像したニューロンとトラクトグラフィーを比較することにより、トラクトグラフィーの正当性を検討する。
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