Project/Area Number |
22K12867
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 90130:Medical systems-related
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
島崎 睦 高知大学, 医学部附属病院, 臨床検査技師 (70869495)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 文靖 高知大学, 医学部附属病院, 客員教授 (10243841)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 血管粘弾性 / 非侵襲的計測 / 伝達関数 / 心負荷 / 血液循環エネルギー |
Outline of Research at the Start |
臨床で用いられる血管(動脈)の「硬さ」の評価はPWV、スティフネスパラメータβ、CAVI のほか多くの指標が用いられる。これらはすべて動脈の「弾性」を評価するものであるが、弾性が低下しても心臓が血液循環へ与えるエネルギーの損失は少ない。一方、「粘性」が大きいと心臓からの血液駆出エネルギーが動脈を拡張させる毎に消費・損失する。よって粘性の評価は重要であるが、非侵襲的な計測・解析が困難であった。今回、血圧から血管径までの伝達関数を求めることで血管粘性を評価する方法を着想し、心疾患との関連を評価する実験的臨床研究を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
臨床で用いられる血管(動脈)の「硬さ」の評価はPWV、スティフネスパラメータβ、CAVI のほか多くの指標が用いられる。これらはすべて動脈の「弾性」を評価するものであるが、弾性が低下しても心臓が血液循環へ与えるエネルギーの損失は少ない。一方、「粘性」が大きいと心臓からの血液駆出エネルギーが動脈を拡張させる毎に消費・損失する。よって粘性の評価は重要であるが、非侵襲的な計測・解析が困難であった。唯一報告されている血管粘性の評価は血圧と血管径のリサージュプロットを描き、その形と面積によって評価する方法である。しかしこの方法は、①血圧波形と血管径波形の時間ずれ、②血圧値、③波形の平滑化、などがプロットに影響するため非侵襲的な「血管粘性」の計測・解析は困難であった。本研究では、波形の時間ずれを補正し、血圧から血管径までの伝達関数を求めることで、血管粘性を評価する方法を検討し、心疾患との関連を評価する実験的臨床試験を行う。 われわれは白色雑音法を用いた伝達関数解析によるヒトの圧受容器反射系の記述や、脳幹刺激、空圧パンツによる低血圧治療の臨床研究を行っており、その手法を用いることで血管粘性を評価する計測・解析における問題点を解決する。3年間の実験的臨床研究により、1)血圧から血管径までの伝達関数の記述、2)心肥大、心不全との対比を到達目標とする。 R4年度は、時間ずれの補正に対するスムーシングの影響を評価し、500点のスムーシングを行った波形でずれを補正すると良好な推定が可能であることを見だした。 R5年度は、倫理委員会への申請し、解析を開始した。高血圧および心血管疾患を有する患者のステップ応答関数の面積は健常者に比して有意に小さく、粘性が大きいことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
倫理委員会の承認後解析を開始したが、リサージュプロットとの比較が遅れている。 血圧はトノメトリ法を用いて非侵襲的に連続血圧を計測する(JENTOW)。動脈径はエコートラッキング法にて連続して計測し(Hadeco QFM 21)、2kHzで同時にAD変換し記録する。血圧から血管径への伝達関数を記述し、ステップ応答関数を算出し粘性を評価する。ここで、2つの波形の時間ずれはゲインに影響するため、補正する操作を行う。計測側の上腕にカフを巻き、収縮期血圧以上に加圧したのち、圧迫を解除する。このとき動脈圧は拍動域以下に低下しており血管壁は通常より弛緩している状態にある。カフ圧迫を解除したときの脈圧の立ち上がりを計測し時間ずれを補正する。 R4年度は、時間ずれの補正に対するスムーシングの影響を評価した。血圧および動脈径波形を1次微分し、波形の立ち上がりがプラスなる時点の差を両者で計測する。その差を用い波形の時間を合わせる。100, 200, 300, 500点のスムージングで血圧から動脈径の時間ずれを補正し、血圧から動脈径への伝達関数を記述しステップ応答関数を算出した。算出したステップ応答関数を波形それぞれで比較すると、500点のスムーシングを行うと良好な推定が可能であった。 R5年度は、倫理委員会への申請し、解析を開始した。波形は500点のスムージングで上記の補正を行った。血圧から血管径への伝達関数は定常ゲインを1とする補正を行いステップ応答関数を算出し、その面積を計算した。高血圧および心血管疾患を有する患者11例(75±6歳、男性9例) の0.128秒までのステップ応答関数の面積は健常者7例(34±6歳、男性5例)に比して有意に小さかった(31.239±0.556 v.s. 31.894±0.608, p<0.05 )であり、粘性が大きいことが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
R4, 5年度の結果より解析方法が決定されたので、これをつづけ症例を追加する。さらに、カフ圧迫により血圧が低下する部分の血圧-血管径プロットより、幅広い血圧値に対する血管の弾性の評価および、この波形を用いたリサージュプロットからも血管の粘性を評価する。健常者、高血圧患者、心肥大、心不全などの心疾患患者で検討を継続し、健常者、心疾患患者での血管粘弾性を比較し、弾性に関しては従来法のPWV, CAVIと比較する。また、上記の検討で問題点があれば解析システムや方法を改変する。
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