Project/Area Number |
22K12878
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 90130:Medical systems-related
|
Research Institution | Tokyo National College of Technology |
Principal Investigator |
齊藤 浩一 東京工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (00205668)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
|
Keywords | 採血 / 蚊 / パラレルリンク / 順運動学 / 逆運動学 / 採血支援 / メカニズム |
Outline of Research at the Start |
本研究では駆動対象を昆虫サイズに限定することで昆虫の運動機構を模倣し、実用レベルの運動機能を有する駆動機構の開発に取り組む。すなわち、脚の関節によって姿勢制御と採血を行う蚊をモチーフにした外骨格のロボットの試作を行い、インセクトラクチャー(INSECt+sTRUCTURE)による小質量な対象の位置・姿勢制御機構の有用性を検証・確立する。蚊の体長は1cmほどであるが、一桁以内の大きさの相似形であれば力学的な破綻は抑制可能と考えられる。そこで本研究では5~10cm程度のセミやカブトムシのサイズの駆動機構を目指すこととし、さらなる小型化技術の基礎を築く。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では採血支援機の開発のためにインセクトラクチャー(INSECTt+sTRUCTURE)に基づき、蚊の吸血における針の位置決め・姿勢制御のメカニズムを模倣し、従来のフレーム構造とリンク機構では実現できなかった超小型・軽量・静音な血管穿刺機構の開発を目指している。蚊は6本の脚を有し、体と針の姿勢を調整して吸血動作を実行する。本研究では採血に必要な一連の動作を実現できる運動機構を以下に示す蚊の特徴に基づき設計した。「複数本の足による針先の位置と姿勢の制御。質量のある胴体部を脚機構の一部(第二関節)より低く位置付けることで低重心の確保と安定した姿勢の維持。脚機構の胴体取り付け部を集中させることで第一関節に広範囲な可動角度域の確保。胴体の吊り角度を小さくすることで脚構造体のたわみの抑制。折り曲げ構造の長い脚による広可動域の確保。」 【装置の概要】本機構は複数本の駆動脚の関節角度により位置・姿勢が決定されるパラレルリンク機構である。採血に必要な可動域として前後(X)・左右(Y)・上下(Z)方向にそれぞれ±10mmの並進運動とヨー軸に±15度の回転運動の可動域を持つことを目標とする。大きさは全長10cm程度以下とする。 【蚊の駆体ロボットの脚部の製作】可動範囲と必要トルクを満たすアクチュエータの選定とリンク長などを調整し、ロボットの構造を設計した。次に動力学シミュレーションによる動作確認後、実機を製作した。動作確認の結果、リンク部のガタによる位置決め誤差とヨー方向の動作不良、制御方式による不規則な動きが認められた。誤差や動作不要はパーツの精度向上により目標の動作が可能であると考えられた。また複数のアクチュエータに対して動作が拮抗しない範囲で時分割制御や独立制御を行なっていたが、さらに細かい時分割やアクチュエータ間の協調を考慮することで、より滑らかな動作が可能になると考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に3本の各脚に1個のリニアアクチュエータと1本の脚のみにさらに回転アクチュエータを付加した計4個のアクチュエータを有する4自由度の小型の穿刺ロボットを設計した。運動学をもとに動力学シミュレータで位置・姿勢制御をシミュレートした結果、X・Y・Z方向およびヨー角において動作範囲を満たしていることを確認した。またシミュレーションにより動作時に生じるモータへの負荷トルクを確認できた。そこで本年度は設定した動作範囲を満たす実機を製作した。まず1本の脚の構造を構築してアクチュエータを組み込み、関節角度とリンク長の動作範囲および応答性を評価した。フレームは三次元プリンターで出力した樹脂部材とすることで強度と重量のバランスを考慮した。次に3本の脚で構成される穿刺ロボットを製作して動作確認を行った。アクチュエータの動作制御はマイコン(Arduino)で行うこととし、リアルタイム動作と4個のアクチュエータを制御可能なプログラムを開発可能な環境を構築した。 構築した小型ロボットおよび制御系を用いて動作確認を行ったところ、X、Y、Z軸の位置移動において、指定した方向に動作することが確認できた。X軸の誤差および標準偏差は約0.1mm、Y軸の誤差は約0.4mm、標準偏差は0.15mm以内であった。Z軸は数mmの誤差が生じ、回転モータの誤差や関節のガタが大きく影響していると考えられた。ヨー角は指定した動作が確認できず、関節のガタと摩擦抵抗によりZ軸の動作に力が逃げていることが確認された。ガタの発生は樹脂製のリンク機構の採用が主原因であり、部品の精査により解消可能と考えられる。また複数のアクチュエータに対して動作が拮抗しない範囲で時分割制御や独立制御を行なっていたため、動作に不規則な動きが見られた。さらに細かい時分割やアクチュエータ間の協調を考慮することで、より滑らかな動作が可能になると考えられた。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度は不安定な動作の解消に注力する。指定方向以外への動作を防ぐことやヨー角の動作を実現するためには、各関節のガタを防ぐことが第一の課題である。これらは各部品の精度の向上により実現が可能である。関節リンクには回転の軸回りの他に直交するモーメントが付加されるため、これに耐えうるベアリングを導入する。直動アクチュエータの動きは動作線上に位置する軸に影響を与えやすいため、各アクチュエータの協調のズレが誤差となる。画像解析の結果、Y軸に対してX軸の動作時にこの傾向が大きいことから、重点的に誤差を解消するように制御アルゴリズムを改良する。 またZ軸動作時の中心点の軌跡はX、Y軸と異なり、指定位置に到達後もY軸にズレが生じ、プラス方向動作時には約15度、マイナス方向動作時には約40度もの傾きが認められた。回転モータの角度誤差は僅かなことが確認されていることから、要因は直動アクチュエータとBody部の関節のガタや弾性変形、各関節の摩擦抵抗による各脚間のバランスの変化が大きく影響していると考えられる。リンク機構部品の高剛性化、高潤滑化とともにフレーム構造を高剛性化し、精度向上を図る。 一方でパラレルリンクは特異点により動作不能となる恐れもある。運動学解析や操作シミュレーションにより特異点を避ける軌跡を生成する制御方法を導入し、動作の安定化を図る。また、さらなるロボットの小型化も課題である。各モータの取り付け角度によって動作範囲を拡大できることを活かし、直動アクチュエータや各ジョイントの動作範囲、リンクの長さを再度検討することで、さらなる小型化を図る。
|
Report
(2 results)
Research Products
(3 results)