Project/Area Number |
22K12915
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 90150:Medical assistive technology-related
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Research Institution | Toin University of Yokohama |
Principal Investigator |
高木 均 桐蔭横浜大学, 工学研究科, 研究員 (40895356)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 富美代 桐蔭横浜大学, スポーツ健康政策学部, 教授 (70309649)
杉本 恒美 桐蔭横浜大学, 工学研究科, 教授 (80257427)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | コロトコフ音 / 画像処理 / 深層学習 / 健康指標値 / 極座標表示 |
Outline of Research at the Start |
血圧計測時に利用されるコロトコフ音は、最高、最低血圧の同定に使用されるが、その波形には血管の粘弾性特性や血液粘度といった身体的な要因が強く反映されていることが予想される。このため、近隣の高齢者施設において、10年以上にわたり数百人分のコロトコフ音を計測し、健康情報の摘出を試みてきた。結果、心筋梗塞等の既往歴がある被験者と健常者の時間波形やスペクトルには、ピーク値や半値全幅などで有意な差が明らかになった。本研究ではコロトコフ音のピーク値や半値全幅等の違いが明確になるよう複数の周波数帯域毎の波形を極座標表示し、これらに深層学習を適用することで、健康状態に関する指標値が得られるかを検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナのため、これまで実施してきたディケアセンターでのコロトコフ音(以下、K音)の計測ができない状況にある。このため、これまで蓄積してきた600以上のデータの中の心疾患に関連したデータを例に、疾病の判定法開発に資源を集中させた。ほぼ、当初の計画通りの進捗で、実績は主に、次の2点である。 1点目は、K音を画像として処理し、画像間の近さの度合を評価できるようにしたことである。昨年は、K音の波形は極座標を使うことで画像に変換できること、更に、有病者のK音画像(以下、疾病画像)に照合することで、顔認証のような画像処理により、検査データでの疾病有無を評価できそうなことがわかった。この結果を踏まえ、今年度は、心筋症を示すとみられる被験者のK音を使って、検出に必要な画像処理法、指標値、及び使用可能なソフトウェアを調査した。結果、画像処理分野の中の類似度判定法が分析に有効であること、指標値には、画像間のマッチング距離が向いていることがわかった。さらに、処理には、オープンソースソフトウェアの中に使えるソフトがあり、実際にK音画像を使ってパソコン上で作動することを確認した。 2点目は、画像間のマッチング距離を使って、疾病の有無、及びその程度の判定に必要な可視化を行った。可視化を要する理由は、複数の疾病画像に対応するためである。疾病の有無や程度の判定は、検査画像を複数の疾病画像と照合しておこなうことになるが、このためには全画像の位置関係を俯瞰できる図が役立つ。今年度は、画像間の距離情報から、複数の画像を1つの図の中に配置することを試みた。結果、距離をもとに反復計算で3次元座標を定め、各画像の位置関係を立体的に俯瞰できる図が作れるようになった。距離情報のみから俯瞰図を作成した例は、調べる限りこれまでにないものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年には、K音波形を極座標を使って画像に変換し、分析に画像処理技術が運用できるよう準備した。これを踏まえ、今年度は、深層学習を見据え、画像の類似度判定による疾病検出を進めた。 最初は、判定法の選択である。疾病の検出は、検査したい画像を、有病あるいは予兆を示す被験者の疾病画像と比較することで行いたい。技術調査をすると、判定技術は顔認証などに開発された指標やソフトウェアが豊富にあり、選択肢も広い。そこでこれらから、K音の処理に適用できる評価指標と、利用できるソフトウェアを検討した。結果、疾病画像に照らして“類似度”を評価するのがよさそうで、このための評価指標として、画像の特徴点同士の“マッチング距離”(以下、距離)を選定した。また距離の計算には、特徴量アルゴリズムであるAKAZE(Accelerated KAZE)が使えることわかった。このソフトはオープンソースで、Python上で作動すること、加えて、基本図形(四角形、三角形、楕円など)やK音画像を使って、拡大縮小、回転に対するロバスト性、精度、利便性も確認できた。 2点目は、複数の画像の位置関係の可視化である。心疾患に限っても、血管の閉塞部位や、機能の低下した弁の位置によって幾つものK音画像がありうる。したがって、疾病の有無判定では、検査画像は、ある単独の心疾患画像との距離からのみでなく、種々の疾病画像との位置関係から総合的に判断されるべきである。今回、この判断に資するため、複数画像を俯瞰できる視覚化法を開発した。具体的には、心疾患の経験が、有る無しの、計14名のK音画像を例に、それぞれの距離の残差を最小となるよう反復計算法で、全画像の座標を定め、3次元の俯瞰図を得ることができた。幾つのデータでも計算は可能であり、今後、検査時や、疾病画像を積み増すごとに活用していく。
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Strategy for Future Research Activity |
以上、K音の画像化、画像間の距離計測、そして複数画像の俯瞰図が作成できたことを報告した。今後、検査したいK音画像を俯瞰図の中に置けば、疾病画像との位置関係から、検査データでの疾病の有無やその程度が判定できると見込む。将来、臨床などでの運用を見据えると、精度、適用面から次の2課題が見えてきており、今年度に取り組むこととする。1点目は、判定精度の担保である。このためには俯瞰図の中に、有病、もしくはその予兆であることが確定された疾病画像があることが不可欠である。また、進捗状況の中にも記したように、心疾患に限っても、心臓まわりの疾患部位が異なればK音波形も異なるであろうから、同じ疾病(名)でも種々の症状の画像を漏れなく取り揃えたい。これまで、われわれがディケアセンターで計測し、蓄積してきた600超のデータには疾病経験者のデータを多く含むが、計測の時点でその予兆があったかどうか確認できない課題がある。したがって、心臓関係を専門とする医師、病院等の協力を得て、有病、もしくは予兆をもつことが確実な被験者での計測を進めたい。 2点目は、疾病抽出技術の適用範囲の拡大である。ここまで心疾患を経験した被験者のデータをもとに抽出法を検討してきた。しかし、心筋症はK音が含む1つの疾病情報に過ぎず、他にも血流と脈動が運ぶ多くの疾病情報が含まれているとみている。心筋症と同様に、それぞれの疾病に特有なK音画像が同定できれば、1回の計測で種々の疾病の抽出が可能となる。このためにも、さらに多くの被験者のデータを蓄積していきたい。特に、新型コロナによる制限が解かれるのを待ち、これまで10年以上実施し、多くの方々の協力が期待できるディケアセンターでの計測を再開できればと考えている。
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