The Function of Figurative Expression in the Aesthetic Judgment of Taste
Project/Area Number |
22K12962
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 01010:Philosophy and ethics-related
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
源河 亨 九州大学, 比較社会文化研究院, 講師 (10838783)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 美学 / 美的判断 / 比喩 / 哲学 / 味覚 |
Outline of Research at the Start |
飲食物の味の評価を行う際に「優しい味」といった表現がよく用いられる。「優しい」は文字通りには人の性格や行為を表す言葉であるので、こうした表現は比喩とみなせるだろう。しかし、味に対してなぜ人の比喩が行われるのか、優しい味は正確にはどのような意味で「優しい」のかと問われると、答えるのは簡単ではない。本研究はこうした味の評価における比喩の仕組みを明らかにするために、評価に関する哲学や美学、味に関する生理学や脳科学、比喩に関する言語学の研究を参照し、包括的な観点からアプローチする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は比喩表現を用いた美的判断の仕組みを明らかにすることである。2022年度は「優しい味」がどのような意味で「優しい」のかを、認知言語学における概念メタファーを用いて説明する研究を行なった。 「優しい味」という表現は飲食のレビューなどでよくみられる言葉であるが、改めて考えてみると、それがどのような意味であるのかはそれほど明らかではない。「優しい」はまずもって人の行動や性格に対して使われる言葉であり、飲食物が文字通りの意味で優しい行動をするわけではないからだ。 この問題に取り組むため、認知言語学における概念メタファーに着目した。概念メタファーという考えによれば、比喩はたんに言葉上の表現ではなく、私たちの物事の理解の仕方に関わるものである。たとえば、「時は金なり」という言葉は、時間はお金と同じように使ったり、浪費したり、節約したりするものであることを示している。私たちの時間の理解の仕方は、お金概念によって枠組みを与えられているのである。そして言語学では「味は人である」という概念メタファーが存在することが示唆されている。味は人と同じように、主張したり、うるさっかたり、他とけんかしたりするものだというのだ。そして「優しい」も人の概念メタファーに含まれる。 しかし、味が人概念によって構造を与えられているとして、優しい味と優しい人にはどのような共通点があるのか。本研究では、優しい味は優しい人と同じく、それと関わった人(食べた人/優しい行為の対象となる人)に、落ち着き、感謝、賞賛といった心の状態をもたらすものであるという見解を提示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
飲食に関する美的判断および比喩表現を用いた美的判断に関して、その研究の一部を扱った著作を刊行した。『「美味しい」とは何か:食からひもとく美学入門』(中央公論新社、2022年)。そのなかで「優しい味」という表現を例として、哲学や認知言語学を踏まえた味の比喩の説明を提示した。また、本書の刊行に伴って、一般向けの講演イベントを行なったり、大学の食文化論の授業に関わったりするなど、研究成果を多方面で発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)2022年度の研究で、味を人に喩える概念メタファーが比喩的な美的判断を説明するうえで有用だとわかった。しかし、喩えに用いられる「人概念」がどのようなものであるかについて、本研究ではまだ十分に明らかになっていない。そこで2023年度は、パーソナリティやアイデンティティに関する心理学や認知科学の研究を調査し、「人概念」にさらに厚みをもたせることを試みる。 (2)味に限らず、美的判断・評価には人の比喩を用いたものが多くある。たとえば絵画の筆使いに対して「優しいタッチ」といった言葉が用いられる。こうした表現も2022年度に取り上げた「優しい味」と同じ仕組みで説明できるのかを検討する。 (3)本研究は味の評価における比喩表現を主題としているが、味ではないものに対して味の言葉が使われる比喩も検討する。たとえば、「甘いメロディ」という表現はよくみるが、メロディは音の連なりであって文字通りに味がするものではない。そこに「甘い」という味の表現が使われていることは比喩だが、その比喩がどのような仕組みで使われているかを検討する。 (4)上記のようなさまざまな比喩を取り上げ、それらに統一的な説明が可能なのか検討する。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)