フィンランド福祉制度におけるルター派思想の影響:普遍主義の原則の形成過程を巡って
Project/Area Number |
22K12992
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 01040:History of thought-related
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Research Institution | Tokyo Woman's Christian University |
Principal Investigator |
五十嵐 成見 東京女子大学, 現代教養学部, 准教授 (10839830)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | ルター派 / フィンランド / カテキズム / 宗教改革 / 福祉思想 / 普遍主義の原則 / キリスト教教育 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、高福祉国家と一般的に認知されている北欧諸国家の中からフィンランドを対象として研究調査を行い、その福祉制度の特質である「普遍主義の原則」の淵源及び形成過程・成立背景を明らかにしていくことを目的とする。関係する研究史としては、20世紀後半まで啓蒙主義思想による影響を見る研究が主流であったが、本研究における独自的な特質として、長く国教会として、また政教分離を経た現在においてもなお、国民教会としてフィンランド内に広く認知されているルター派の影響を主眼に置いていくこととする。ただし、ルター派外によるキリスト教活動及び思想による影響の研究も含まれる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、数年来の新型コロナウィルスの影響によって、海外渡航のレヴェルが引き上げられていた関係で学内・学外共にフィンランドへの研究調査の実施が危ぶまれたが、9月に渡航することが可能となり、資料収集・インタヴュー、実地調査等の研究調査を無事に行うことができた。ただし日程調整の関係上、資料収集の面でなお不備が生じている。また、学会発表は時間の都合上行うことができなかったものの、論文として2本執筆した(1本は今年度刊行、もう1本は来年度刊行予定[入稿済])。 初年度の研究実績としては、主に2点挙げることができる。1点目は、現代フィンランド国家に息づいている福祉思想及び国家体制的基礎を形成した16~17世紀におけるルター派的宗教改革期の変化プロセスの解明及びその特色である。特に、国家と教会との関係性の変化が、今日にまで至る公的セクターの発展の淵源となっていること、またルターにおける二世界統治理論が変化の受容に対して積極的に作用したこと、等を明らかにすることによって、近現代におけるフィンランド国家の形成が、宗教改革期の変化を継承していることを指摘している。 2点目は、近現代フィンランドにおける福祉及び教育思想の予備的考察として、宗教改革期以降における教育学的変化の考察により、アグリコラやゲゼリウスらによるフィンランド語文字文化の成立及びカテキズム教育の発展によるルター派思想の浸透化、また、トゥルクアカデミーの創設とフィンランド国民文化の形成との関係性を指摘したことである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度より、本務校の勤務先が変わったことより、とりわけ初年度対応に多くの時間を費やす必要があったため、当初の想定よりも進捗状況は緩やかにならざるを得なかった。しかしメインの目的遂行のための資料収集及び研究考察と、本年度の計画を予め位置付けていたため、進捗自体には特段の問題はなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本年度の研究調査によって入手することができた文献を生かして、アウトプットとしての学会発表及び論文執筆により集中的に取り組む。さらに、新型コロナウィルスが5類へと変わったことによって、学会等も対面開催が可能となったため、この数年間滞らざるをえなかった国内及び国外での研究交流を促進することにより、研究の幅を広げていくように努める。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)