Project/Area Number |
22K12993
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 01040:History of thought-related
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
許 智香 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 助教 (60876100)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 西洋哲学と植民地朝鮮 / 基礎学問の植民地学知 / 植民地学知 / 西洋哲学 / 教養主義 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、近代以前の文士たちの教養と異なる形での近代的教養主義が、近代日本においていかなる展開を見せたかについて、植民地朝鮮と新たな学知としての「西洋哲学」に着目するものである。抽象的な説明を避けるために、戦前日本における旧制高校と、高等学校がなかった朝鮮における諸専門学校に焦点を当て、文系の基礎科目がいかなる形で存在していたかを、史資料を中心に実証することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度では、前年度の引き続き、京城帝国大学の「哲学、哲学史」講座について研究調査を行い、論文発表と研究報告を行った。植民地朝鮮の帝国大学において西洋哲学とは如何なるものだったかを考える手がかりとして、(1)「哲学、哲学科」講座の詳細な開設科目と(2)日本人教員と日本人学生の詳細を調査した。(1)では、今まで京城帝大の各年度において講座担任が取り上げた授業テーマと書籍について調査を行なってきたが、その情報が関連雑誌の「彙報欄」などに散在していたため、不明な年度が生じていた。ところで、2023年度では、ほとんど全ての年度について埋めることができた。(2)について、教員と日本人学生に注目した理由は、第一、西洋哲学専攻者という特性のゆえに植民地の帝国大学の設立趣旨と自分の学問的なスタンスを一致させることが困難だった「内地」の研究者について考えるためであった。第二に、他の専攻と違って朝鮮人の比率が格段に高かったのが哲学科の中でも「哲学、哲学史」専攻だったが、その中で、西洋哲学を専攻した日本人学生の経歴を把握するためであった。2023年度では、この二つの課題を中心に、研究論文を発表し、研究報告を行うことができた。特に、韓国の学会(翰林大学校翰林科学院)で開かれたシムポジウム(2023年5月)の成果をもとに「京城帝国大学哲学科と植民地朝鮮:制度、学問、教育」という特集が組まれた。また2023年10月に開かれた朝鮮史研究会においては、九州大学の永島広紀その他3人の先生とパネル報告(京城帝国大学研究の領域横断的新展開)を行い、その成果を中心に研究論文を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
旧制高等学校と同レベルで考えられる、植民地朝鮮の専門学校、そして京城帝国大学の予科の場合、詳細な授業実態がわかる史料がほとんどない状況にあることが最近わかってきた。そこで、京城帝国大学の西洋哲学系講座を中心に、植民地朝鮮において西洋哲学とは何だったのかについて調査を深めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、植民地朝鮮において西洋哲学とは何だったのかという問題について引き続き考えるため、京城帝国大学において西洋哲学系の仕事をしていたいわゆる、夏目漱石門下の人たちについて詳細に調査していく。これまで調査してきた安倍能成に関しては、日記翻刻作業を通して西洋哲学研究者の植民地生活を具体的に再現する。また、「美学美学史」講座の上野直昭についても東北帝大の哲学系の人物、特に阿部次郎との比較を通して、人間感情論をめぐる「内地」と「外地」の帝国大学学知の詳細を把握する。
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