Project/Area Number |
22K13011
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 01060:History of arts-related
|
Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
倉持 充希 神戸学院大学, 人文学部, 准教授 (60845303)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
|
Keywords | 共同制作 / 17世紀イタリア / 専門画家 / 人物画家 / 美術の南北交流 / 静物画 / 風景画 / 北方画家 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、17世紀イタリアで行われた共同制作に関する本格的な調査を行うものである。ヨーロッパ美術における共同制作とは、風景や静物などに特化した専門画家と人文主義的教養を備えた人物画家が、互いの得意分野を生かして1点の絵画を制作することである。 本研究では、画家たちがどのような関係や役割分担のもとで共同制作を実現したのか、ネーデルラントに由来する共同制作はイタリア美術にいかなる刺激を与えたのか、どのようなイタリア独自の展開があったのかなどを解明し、17世紀イタリアの共同制作の全体像を明確に示す。この研究により、共同制作を通じたネーデルラントとイタリアの美術交流の研究を進展させることができる。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、17世紀イタリアにおいて人物画家と専門画家が共同で描いた絵画作品を調査するものである。具体的には、①主要作例の本格的な作品研究(2022~24年度)、②関連作例の収集と分類(2023~24年度)、③制作環境を踏まえた全体の傾向分析(2022~24年度)を行う。なお、医師の指導により2023年1月下旬より在宅勤務となり、4月下旬から産前休業に入り、2024年3月末まで育児休業を取得した。そのため、2023年度中の物品購入や現地調査などによる予算執行はなかった。以下、2023年4月の作業内容を記す。 ①主要作例の本格的な作品研究:2022年度の基礎調査の成果を踏まえ、2023年度には、風景画家カスパール・デュゲと人物画家ギヨーム・クルトワ(イタリアで活動したフランス人画家)が共作した連作(ローマ、パンフィーリ美術館所蔵)に関する作品研究を重点的に進め、成果公表のために必要な追加文献のリストアップを行った。先行研究でも指摘されているように、上記のパンフィーリ家は、アルプス以北の画家たちによる共同制作絵画を所有していたことから、この事例をさらに詳しく検討することで、ローマの有力なコレクターの共同制作に対する趣向が明らかになる。 ②関連作例の収集と分類:2023年度には、本研究を申請する以前の予備調査の際に収集した文献を利用し、共同制作絵画の作例の整理を進めた。今後、主要美術館のコレクション・カタログなどを追加購入し、関連作例の分類を進めることで、これまで行われてこなかった網羅的な事例収集が実現できる。 ③制作環境を踏まえた全体の傾向分析:2023年度には、ローマやミラノの芸術保護に関する参考文献一覧を作成した。これらの文献を購入し、作例を相互に関連付けて整理することで、地域による作例の分布や流行の時期などが明らかになることが期待される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記の通り、2023年1月から在宅勤務となったこと、2023年4月下旬から産前休業に入り、2024年3月末まで育児休業を取得したことから、2023年度の実質的な稼働期間は、4月下旬までであった。また在宅勤務でもあったため、新しい書籍の購入や、国内出張、イタリアでの現地調査などは行わず、前年度までの研究成果の整理と、2024年度の調査研究に向けた準備を行った。内容の詳細は、上記の「研究実績の概要」を参照。
|
Strategy for Future Research Activity |
現地調査に関しては、2024年度の夏期と春期に敢行する予定だが、渡航が難しい場合は、書籍を購入し、上記の①~③の作業を進める。2024年度の研究の推進方策の詳細については、2023年度の稼働期間が4月のみであったことから、2022年度の実施状況報告書に記載した内容から大きな変更はない。以下、概要を記す。 ①主要作例の本格的な作品研究:作例を所蔵する美術館において、作品の観察と関連資料の閲覧を行う。個人蔵の作品については、所有者にアポイントメントを取り、個人邸を訪問する。今後の現地調査は、2023年8~9月にイタリア(ローマ・ミラノ)、翌年2~3月にイギリス(ロンドン・チャッツワース・ブライトン)、同年8~9月にスペイン・フランス(マドリード・パリ)、翌年2月にイタリア(ローマ・ナポリ)を予定している。 ②関連作例の収集と分類:共同制作絵画の場合、人物画家と専門画家とあいだの分担を確認する必要があるため、美術館等で作例を実見する。現時点での課題として、いくつかの関連作例について、文献上で印刷されている写真資料や現物の観察からでは、制作に携わった画家を同定するのが難しいことがある。一次資料(注文に言及した書簡や銀行の送金記録、財産目録など)が現存する場合には古文書館で閲覧することに加えて、ローマのヘルツィアーナ図書館などで複数の二次資料(カタログや研究論文など)を比較検討し、帰属が明らかな作例を優先的に考察する。 ③制作環境を踏まえた全体の傾向分析:共同制作絵画を好んで注文した美術愛好家に着目し、その周囲の文化的環境や彼らの芸術庇護に関する文献を収集して、全体像の把握に努める。
|