ポピュラー文化を利用した「感情の政治」時代における市民的主体の可能性
Project/Area Number |
22K13014
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 01070:Theory of art practice-related
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
渡部 宏樹 筑波大学, 人文社会系, 助教 (40834487)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | ポピュラー文化 / ファン研究 / 市民社会 / カルチュラル・スタディーズ / ポピュリズム / 映画 |
Outline of Research at the Start |
本研究はポピュラー文化によって政治と娯楽の境界が曖昧になった「感情の政治」時代において、いかなる市民的主体の可能性があるかを理論的側面と事例研究の両面から検討するものである。理論的側面においては、ファン研究、政治学、映画・メディア研究等におけるラカン派精神分析の影響を受けた主体形成の議論を整理する。事例研究という点では日本と東アジアにおける政治と娯楽にまたがった文化現象を具体的に取り上げこれらの中で市民的主体の可能性を議論する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究プロジェクトに関連して、2023年度は査読論文を3本、査読なしの招待論文を1本、著書の分担執筆を1本発表することができた。特に、査読論文3本(「刺青に突き立てられる刃:『ゴールデンカムイ』 における皮膚上の記号作用とギャグの機能」、「一性と複製性:『ミュウツーの逆襲』(1998年)ならびに関連作品群における動物の形象としてのポケモン」、「恋闕へのまなざし : 『刀剣乱舞』と一九六〇年代三島由紀夫作品の比較研究」)については2022年度に発表した査読論文の中で展開したキャラクター研究の議論を応用し、それそれ漫画『ゴールデンカムイ』、映画『映画ポケットモンスター:ミュウツーの逆襲』、オンラインゲーム『刀剣乱舞-Online-』といった現代日本のポピュラー文化作品についてその表象の分析を行うことができた。こうしたポピュラー文化作品については文学研究・映画研究といった領域と比較して先行研究蓄積が少なく、キャラクター論という観点を持ち込んでトランスメディア的に議論を展開できたことは今後の研究に資するものであると言える。招待論文である「現代アメリカにおけるポピュラー文化と感情の政治:「悪さ」の取り扱いについて」では、現代のアメリカのポピュラー文化の系譜を追いかけながら、アメリカにおけるポピュラー文化と政治の関係を議論することができた。『メディア論の冒険者たち』の分担執筆項目では、ファン研究の第一人者であるヘンリー・ジェンキンズの仕事について「参加型文化」という観点からまとめ、日本の研究者にとってファン研究について学ぶ際の基礎文献となる仕事を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2023年度については査読論文だけで3本の論考を発表することができた。これは2022年度に発表した査読論文の中で展開した理論的準備を具体的な作品分析として展開したもので、2022年度の研究活動内容に具体的にどのような発展性があるのかを査読論文という形で示すことができたと考える。査読論文3本以外にも招待論文や分担執筆として複数の論考を発表することができた。これらを総合的に考えると当初の計画以上に進展していると言っていいだろう。
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Strategy for Future Research Activity |
前述の通り、2023年度に大量に発表することができた論文は2022年度に発表した論文の理論的議論を具体的な作品に適用した成果である。まだ、この理論の応用可能性は残っているため、2024年度については2023年度同様に、作品分析を継続する予定である。その後2024年度後半からは、理論面の探究に戻り、2025年度以降、再び理論的な論文を発表できるようにする予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(9 results)