Project/Area Number |
22K13024
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 01070:Theory of art practice-related
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Research Institution | Kansai University (2023) Osaka Seikei University (2022) |
Principal Investigator |
川島 裕子 関西大学, 総合情報学部, 准教授 (60824068)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 演劇的手法 / ワークショップ / 多文化共生 / パフォーマンス / アクションリサーチ / アートベース・リサーチ / プログラム開発 / 自己変容 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、文化的社会的背景の異なる「他者」になるパフォーマンスの体験に着目し、内的境界の往還プロセスに焦点を当てたプログラム開発とその体験における自己変容過程の解明を行う。特に〈日本人〉の境界に注目し、次の3つの手順を往還しながら実施する:①パフォーマンス・ペダゴジーによる先駆的な実践の分類と理論化を通したプログラムの設計 ②場のデザインとプログラム実施によるアクションリサーチ ③パフォーマンス体験における変容プロセスの分析。社会包摂を念頭に、身体的変容過程に着目した多文化共生教育プログラムの構築を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度の主な研究実績は次の3点である。第一に、演劇ワークショップによる教育プログラムの実施である。本研究の目的の1つは、文化的差異に着目したパフォーマンス・ペダゴジーによるプログラム開発であるが、2024年1月に東京都の定時制高校において、「他者理解」を目的とした演劇ワークショップを実施した。参加者は、言語文化や就学歴、職業歴など、さまざまな背景を有する高校生であり、グループが固定化され、多様な関わりが生まれにくいという教師の現状認識を出発点とし実施された。経験や価値観等の多様な「異」が共存する集団において、どのように演劇ワークショップをデザインし、どのような体験が生まれるのかを検討した。 第二に、日本および国際学会等における研究発表ならびに論文執筆である。例えば、日本教育メディア学会では、演劇ワークショップ自体を「アートベース・リサーチ」として位置付け、他者理解に関する情動的身体的知の生成のあり方を提示した(川島, 2023)。また、国際教育メディア学会では、「教育メディア学」の視点から、パフォーマンス実践の意義を検討し、視聴覚メディアにおける他者との身体的・感情的な深い関わりを促す教育実践のデザインと、その際の学習者の感覚の拡張のあり方を検討した(Kishi & Kawashima, 2023)。また、論文では、受け入れ難い他者を「理解」する際のパフォーマティブなアプローチについて、「越境的想像」を通した「多現実性」への気づきという視点から検討を行った(岸・川島, 2024)。 最後に、昨年度に引き続き、「アートベース・リサーチ」に関する研究会の実施と研究調査を行った。2023年11月に、アートベース・リサーチを牽引するパトリシア・リーヴィー氏によるオンラインセミナーを実施した。また、来年度から実践するドキュメンタリー演劇に関するフィールドワークを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究プロジェクトの目的は、文化的差異に着目したパフォーマンス・ペダゴジーによるプログラム開発とその体験における自己変容過程の解明である。全体として、プログラム設計のための調査と教育プログラムのデザインを行うのと同時に、以下の通り、演劇ワークショップの実施と分析を循環させながら進めることができている。 「プログラム開発」については、昨年度に行った地域コミュニティでの実践に引き続き、今年度は学校教育をフィールドとしたワークショップを実施することができ、順調に実践を積み重ねている。また、来年度は大学での教育実践として、ドキュメンタリー演劇の制作に取り組む予定である。今年度は、その準備としてプログラムをデザインし、来年度からの実践に向けた準備を整えることができた。 また演劇ワークショップを実施する際は、参加者のワークショップ体験に関する調査を並行して行なっている。そのため、プログラム参加者の「パフォーマンス体験における自己変容プロセス」に関する知見を得ることができている。それらに関する研究成果は、「研究実績の概要」で示した通り、学会での研究報告や論文として順次発表し、順調に研究を進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度から、川島が大学で担当する専門演習にて、多文化共生教育の一環として、ドキュメンタリー演劇による教育プログラムの実践を行う。ドキュメンタリー演劇とは、実際にあった社会的出来事について当事者へのインタビュー、目撃証言、ドキュメントなど、さまざまな素材をもとに上演する演劇である。特に、当事者の語りを一語一句書き起こし、役者がその語り手の話し方のパターンを掴みながら,一語一句演じる「ヴァーベイタム・インタビュー演劇」の手法を取り入れて実施する予定である。複雑な社会的出来事について多様な立場から多角的に考え、深く情動的に関わりながら、新しい意味や価値の生成を目指す教育実践である。このようなパフォーマンスを基盤とした教育実践はどのようにデザインでき、ワークへの参加やパフォーマンス鑑賞を通して、普段、無自覚なものをどのように意識化し、新しい関係性や価値を創造することができるのか検討していく。 また、これまでにワークショップを実施した東京都日野市や定時制高校においても、引き続き実践を行なっていく。 2025年度は、パフォーマンスを基軸とした活動モデルの確立とパフォーマンス体験における自己変容プロセスの解明に向けて、これまでの知見をより体系的にまとめ、日本および国際学会等での研究報告と論文執筆を行っていく。特に、演劇ワークショップにおける参加者の体験について「情動」の視点から思案し、文化的差異が交錯する場において、多様な身体がどのように出会い、影響を与えあいながら感覚を拡張させ、学びを深めていけるのかを考察する。
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