Preliminary Research on Adaptations of Murakami Haruki's Works in the Japanese Cinema of the Post-Studio Era
Project/Area Number |
22K13025
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 01070:Theory of art practice-related
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
藤城 孝輔 岡山理科大学, 教育学部, 講師 (20887624)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | アダプテーション / 日本映画 / 村上春樹 / 1980年代 |
Outline of Research at the Start |
これまで学術的に十分に注目されてこなかった1980年代の村上春樹作品のアダプテーションに注目することにより、2003年以降国際的に相次いでいる村上作品の映画や舞台への翻案と、1980年代の日本映画の文脈の中で行われた初期のアダプテーションとの関連性を捉える視座の獲得を目指す。日本映画における撮影所システムの衰退と自主制作映画の台頭、さらに社会現象となった小説『ノルウェイの森』ブームによる村上の人気といった1980年代の社会的文脈の中で初期村上映画化作品の意義を検討するとともに、映像テクストおよび同時代の言説の分析を通して、これまで等閑視されてきた村上と日本映画の関係を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、まず1988年の映画『森の向う側』(野村惠一監督)について、劇中に見られる他の村上作品との間テクスト性および視覚表現の分析を通して村上ブームという社会的文脈の中におけるメディア間の連帯を検討した。同作の研究成果は第11回村上春樹国際シンポジウムで発表を行ったのち、2023年6月に台湾で刊行される村上春樹研究叢書『村上春樹における紐帯』(淡江大学出版中心)に掲載されることになった。また、村上春樹の短編小説を翻案し、アカデミー賞国際長編映画賞受賞などにより世界的に評価された日本映画である『ドライブ・マイ・カー』(濱口竜介監督、2021年)についても他者の表象の観点から分析を行った。同作については国際シンポジウム「Drive My Car: A Symposium on Hamaguchi's Cross-Media Vehicle」で発表を行い、2023年4月に出版された『「ドライブ・マイ・カー」論』(慶応義塾大学出版会)所収の論考として結実した。さらに『トニー滝谷』(市川準、2004年)や『神の子どもたちはみな踊る』(ロバート・ログヴァル監督、2007年)についても村上文学のアダプテーションという観点から研究を行ったほか、村上春樹文学の影響を色濃く受けた新海誠監督の日本映画『すずめの戸締まり』(2022年)についても論評を行った。 村上春樹作品の映画アダプテーションの日本映画史における意義を問うことを目的とする本研究課題において、以上の研究実績は1980年代から今日にいたるまでの村上春樹文学と映画の関係を明らかにするものである。特に『森の向う側』は2022年秋に早稲田大学演劇博物館で開催された企画展『村上春樹 映画の旅』で看過されていた作品であり、同作の研究の重要性は高い。国際的な場で成果を共有することにより、グローバルな視点からのフィードバックも得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は本研究課題に基づく論文を4件発表し、口頭発表を5回行い、その他の短い文章を3件発表した。本年度に口頭発表した内容に基づく論文のうち『ドライブ・マイ・カー』と『森の向う側』に関するものは2023年度に出版される2冊の論集に収録されることが決まっている。結果的に1980年代の日本映画よりも広い範囲での村上春樹作品のアダプテーションを扱うことになったが、包括的な視点は日本映画史における村上春樹映画化作品の意義を問う本基礎研究をより豊かにするものである。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、1987年に刊行された村上の出世作『ノルウェイの森』の映画化作品『ノルウェイの森』(トラン・アン・ユン監督、2010年)について研究を行い、2023年6月に台湾の淡江大學淡水キャンパスで開催される第12回村上春樹国際シンポジウムで発表する予定である。さらに、村上や濱口竜介と同様に海外で広く認知されている是枝裕和監督の日本映画についても研究を進めており、慶應大学日吉キャンパスで開催予定の国際シンポジウムで発表する予定である。そして村上春樹文学の初の映画化作である『風の歌を聴け』(大森一樹監督、1981年)についても村上春樹とアダプテーション研究会において口頭発表を行う予定である。口頭発表については発表時にフィードバックを得た上で本年度中に論文化を目指す。その他、短編映画へのアダプテーションについても研究を進め、何らかの形で文章にまとめたい。
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Report
(1 results)
Research Products
(9 results)