Project/Area Number |
22K13030
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 01080:Sociology of science, history of science and technology-related
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
雨宮 高久 日本大学, 理工学部, 助教 (40610580)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2026: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2025: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | 核融合 / 核融合懇談会 / 京都大学基礎物理学研究所 / 超高温研究会 / 研究者コミュニティ / 研究者組織 / 黎明期 / 研究所 / 核融合反応懇談会 / 湯川秀樹 / 原子力局 / 原子力委員会 / プラズマ研究所 / アーカイブズ / 科学史 / 研究者 |
Outline of Research at the Start |
原子核反応の一種である「核融合」を使用した発電の研究は、1950年代には日本でも本格的に検討が開始された。この時、研究者コミュニティとして、現在のプラズマ・核融合学会の前身組織である「核融合懇談会」が発足している。本研究では、「核融合懇談会」の発足とその後の運営に関わった研究者たちの動向を調査することで、国内に新たな学問分野の「研究者組織」が発足するための「普遍的な要因」を探ることを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、日本国内のアーカイブ機関に所蔵されている文献史料を調査・分析することで、1950年代に発足した研究者の自主的組織「核融合懇談会」(現在の「プラズマ・核融合学会」)の発足までの動向と、発足後の同懇談会を中心とする核融合研究者コミュニティによる研究体制の構築について明らかにすることを目的としている。 令和5年度は京都大学・基礎物理学研究所・湯川記念館史料室、自然科学研究機構・核融合科学研究所(NIFS)・核融合アーカイブ室、高エネルギー加速器研究機構(KEK)・KEK史料室に所蔵されている「核融合懇談会」および関連する研究者組織についての文献史料を調査した。 また、これらの文献史料の分析に基づき、(1)「核融合懇談会」発足以前に大阪大学工学部の研究者たちを中心として発足した「超高温研究会」(後の「高温学会」で、現在の「スマートプロセス学会」)の創設当時の動向、(2)大阪大学付置研究所として設立が期待された「超高温研究所」に関する「超高温研究会」の取り組みを明らかにすることができた。また、上記(2)と関連して、(3)プラズマ・核融合分野における共同利用研究所として、1961(昭和36)年4月に発足した名古屋大学プラズマ研究所の設立に至るまでの核融合研究者コミュニティにおける「研究所」に関する議論についても、文献史料から明らかとなった変遷を取りまとめた。さらに、(4)1950年代に核融合研究に取り組み始めた研究者組織である「素粒子論グループ」と「超高温研究会」において、研究開始当初に主張していた研究方針の違いについても分析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先述の通り、令和5年度は3つのアーカイブ機関に所蔵されている文献史料の調査を行った。文献史料の調査・分析から明らかとなった核融合研究黎明期の動向については、日本科学史学会第70回年会、日本科学技術史学会第23回研究発表会、日本物理学会2024年春季大会、2023年度第2回自然科学系アーカイブズ研究会で発表した。また、これらの学会に参加した際に、本研究課題遂行に必要となる文献史料について、これまでに知り得なかった新たな情報を得ることができた。 その一方で、各アーカイブ機関に所蔵されている文献史料のうち、本研究課題に関係する文献史料は数多く、すべての史料を調査することはできなかった。また、当初予定していた名古屋大学・物理学教室・坂田記念史料室と国立大学法人東海国立大学機構・大学文書資料室については、文献史料の調査を行うことができなかった。さらに、文献史料の調査・分析に基づき、欧文誌への論文投稿の準備を進める予定であったが、令和5年度の段階では論文執筆に取りかかることができなかった。 このように、令和5年度は当初の予定通りに研究活動を遂行することができなかったが、調査・分析することができた文献史料からは、これまでに判明していない核融合研究黎明期の研究者組織の動向を発見できた。そのため、現段階で本研究課題は「おおむね順調に進展している」と判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度も引き続き、アーカイブ機関に所蔵されている文献史料の調査・分析を進めていく。なお、令和5年度に調査を行った京都大学・基礎物理学研究所・湯川記念館史料室と自然科学研究機構・核融合科学研究所(NIFS)・核融合アーカイブ室については、文献史料の調査を継続する。また、令和6年度は日本学術会議・図書室、国立研究開発法人・量子科学研究開発機構(QST)・那賀フュージョン科学技術研究所、名古屋大学・物理学教室・坂田記念史料室、国立大学法人・東海国立大学機構・大学文書資料室、武谷三男史料室などに所蔵されている文献史料についても調査を実施する予定である。 特に、「素粒子論グループ」における核融合研究の開始と取り組みについて、同グループの会誌『素粒子論研究』や湯川記念館史料室、坂田記念史料室に所蔵されている文献史料に基づき、調査・分析することに力を入れたいと考えている。 なお、文献史料を調査・分析した結果は各学会で発表するほか、令和6年度中に科学史関係の欧文誌に論文を投稿することを計画している。さらに、研究に必要となるプラズマ・核融合分野の文献の収集作業も進めていく予定である。
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