Elementary Education and Identity Formation in Colonial Taiwan: Focusing on Long Yingzong, Zhang Wenhuan, Zhou jinbo and Lu Herou
Project/Area Number |
22K13041
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 02010:Japanese literature-related
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
孫 世偉 青山学院大学, 文学部, 助教 (30881966)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | 植民地台湾 / 日本語文学 / 龍瑛宗 / 張文環 / 周金波 / 呂赫若 / 初等教育 / 国語 |
Outline of Research at the Start |
植民地台湾で行なわれた非母語話者への初等教育の教育的効果を検討し、アイデンティティ形成のプロセスについて考察するのが、本研究の骨子である。本研究が取り扱う作家たちのアイデンティティは、生まれ持って日本人であると疑わずにもつようになったものではなく、学校教育によって後天的に形作られたものである。明治以降の近代教育で創り出された支配構造と「国民」の概念との共通性の解明の一助になると考える。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、植民地台湾における初等教育が、日本語で創作を行った台湾人作家へもたらした影響や教育的効果を検証することを目的としている。1919年の台湾教育令施行後、書房を通した伝統的啓蒙教育(四書五経など儒教的教養)が次第に禁止されていく中、日本語による公学校教育で教養的基盤を形成した龍瑛宗、張文環を中心に調査を行なった。研究成果としては、2022年12月に行われた第7回日本移民学会冬季研究大会にて、「戦時下植民地台湾文学に見るエスニシティとアイデンティテー作家・龍瑛宗を例に」の口頭発表を行った。また、植民地台湾における初等教育に関連するテーマとしては、ヨーロッパ台湾研究学会(EATS)2022年度大会にて、「A Chimera of Colonial Education: Wu Feng’s Tale in Japanese Textbooks」をテーマに口頭発表を行い、漢民族向けの『国語』教科書における台湾先住民族への眼差しや描き方を再検討した。明治期の第一期教科書から現れた教育方針において、複層的なエスニシティーと社会階層がいかに統治集団である総督府に捉えられ、初等教育に反映され続けた事実を検討した。また、新型コロナウイルスによる入国制限が緩和されたのに伴い、2023年2月に台湾への資料収集や現地調査も実現できた。第一次資料を閲覧と収集とともに、龍瑛宗の生家である新竹県北浦地域に訪問し、龍がかつて薫陶を受けた旧公学校(現在、当時の教員宿舎の建物を改修した「龍瑛宗文学記念館」)できた。目下は、二人目の作家である張文環を中心に研究を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルス感染症の影響で、台湾への渡航や資料調査などは困難だったが、概ね入国制限が緩和された今年度は、計画通りに学会発表や現地調査を実施できると予想される。
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Strategy for Future Research Activity |
目下、概ね計画通りに研究を推進している。2022年に日本移民学会冬季研究大会にて行った口頭発表「戦時下植民地台湾文学に見るエスニシティとアイデンティテー作家・龍瑛宗を例に」を、2023年度に当該学会の学会誌に論文化していく予定である。また2023年度は、主に周金波、呂赫若の二人の植民地日本語作家に焦点を絞り、植民地台湾で受けた初等教育がこの後の創作活動や作家としてのキャリアへの影響を引き続き検討していく。龍瑛宗と違い、周金波、呂赫若は二人ともに裕福な家庭で育ち、日本本土への渡航や留学を長く経験しているものの、日中戦争・太平洋戦争戦時下における二人の路線に鮮明な違いがある。すなわち、周は「皇民作家」として戦時下プロパガンダに積極的に協力するのに対して、呂は共産主義運動に身を投じ、37歳の若さで亡くなる。歯科医を目指して内地へ留学した父親に伴い、幼い頃東京で暮らしていた周だが、関東大震災をきっかけに一家が台湾に引き上げた。その後、現地の公学校に編入したが、その際の経験がキャリアに与えた影響について再考する。一方、呂は地元の地主階級家庭の出身ながら、師範学校を経て公学校教師になったのだが、教師として第一線で教壇に立ったことと彼の創作活動の関係や、自身の初等教育の経験などに対して分析を加え、学会等で発表する予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)