Project/Area Number |
22K13059
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 02010:Japanese literature-related
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima (2023) National Institute of Technology (KOSEN), Kure College (2022) |
Principal Investigator |
福田 涼 県立広島大学, 地域創生学部, 講師 (10880239)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2025: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 三島由紀夫 / 翻訳文学 / ウォルター・ペイター / 芸術小説 / 北原武夫 / レイモン・ラディゲ / 堀辰雄 / アダプテーション / 典拠と引用 / 戦後文学 / 出版文化 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、三島由紀夫(1925~70)における翻訳文学受容について、昭和20年代の作品を中心的な調査・考察対象とし、その実態の一端を解明するものである。具体的には、当該時期における三島の読書体験に関して、他の文学者の動向や翻訳出版の状況も踏まえつつ多角的な調査を行い、そこから得られた情報・知見に基づき、当該時期の諸作を読み解いてゆく。こうした作業を通して、個々の三島作品を「表現史」の観点から捉え直し、三島の文業を戦前から戦後にかけての文学史の内部に再定位する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、三島由紀夫(1925-70年)における翻訳文学受容について、昭和20年代の作品を中心的な調査・考察対象とし、その実態の一端を解明することを目的とする。令和5年度の主な研究実績は、以下の通りである。 (1)短篇『貴顕』(1956年)について、昨年度に引き続き、ウォルター・ペイター受容という観点から調査・分析を進めるのみならず、新たにオスカー・ワイルドの『芸術論』と『ドリアン・グレイの画像』、またエドガー・ポー『楕円形の肖像』等との比較を行った。こうした作業を経ることで、従来は三島個人の文業に占める位置について論じられてきた本作を、新たに芸術(家)小説の系譜上に再配置するための端緒が開かれた。以上の成果は、日本近代文学会関西支部秋季大会(2023年11月12日、於近畿大学東大阪キャンパス)において、口頭発表の形式で公表した。現在は、当該の発表の際に交わされた質疑の内容も踏まえつつ、論文化に向けた作業を進めている。 (2)申請時の計画を一部変更し、『仮面の告白』(1949年)の考察に着手した。夥しい量の研究が蓄積されている本作を、新たに「翻訳文学」という視座から捉え直すべく、先行論や関連資料の再整理と、それを踏まえた基礎的なテクスト分析を実施した。その一端については、今秋に口頭発表を実施する予定である(エントリー済み)。 (3)このほか、本研究課題における研究対象たる『夜の仕度』(1947年)と典拠を同じくする、北原武夫の短篇『魔に憑かれて』(1957年)について、北原の初期短篇『青春 或いは『魔に憑かれて』』(1940年)も視野に入れつつ考察した。両者ともレイモン・ラディゲの『魔に憑かれて(肉体の悪魔)』(1923年)や、堀辰雄の小説を同様に参照しつつも、三島は「戦争」、北原は「狂気」に、それぞれ重点を置いていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時の計画とは進捗状況にズレ(内容面・スケジュール面)が生じてはいるものの、三島由紀夫『貴顕』の分析作業は着実に進展しており、また北原武夫『魔に憑かれて』を新たに分析の俎上に載せることで、当該の作品については勿論、三島由紀夫のラディゲ受容の特質がさらに明確に浮き彫りになるなど、新たな知見が得られつつある。 一方で、口頭発表の内容を論文化する作業がやや遅れ気味であること、また青少年期の三島が参照した文献・書籍のリストについては大きな進展が得られなかった点は遺憾であり、その意味で本研究課題に関しては「当初の計画以上に進展している」とは言い難い。 これらの事情を勘案し、令和5年度に関しては「おおむね順調に進展している」との判断を下した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、主に以下の作業を進めてゆく予定である。 (1)『夜の仕度』(1947年)に関する論文の修正作業を完了させ、学会誌に再投稿する(令和4年度からの継続課題)。 (2)『貴顕』(1956年)に関する学術論文を執筆し、学会誌に投稿する(2024年11月までに投稿することを目標とする)。 (3)『仮面の告白』(1949年)における翻訳文学受容について、資料の渉猟と、それに基づくテクスト分析を進める。その成果は、学会や研究会等で口頭発表(エントリー済み、審査結果待ち)を行う。 (4)三島由紀夫が参照した書籍・文献のリスト(1940-1945年)を作成する。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)