Project/Area Number |
22K13115
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 02060:Linguistics-related
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Research Institution | Chukyo University (2023) Osaka University (2022) |
Principal Investigator |
菅谷 友亮 中京大学, 教養教育研究院, 講師 (50826625)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
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Keywords | 視線計測 / 指示詞 / 直示 / 視覚世界パラダイム / 言語比較 / 社会認知 / 照応 / 認知プロセス / 意味・語用論 / 言語類型論 / 脳波計測 / 眼球停留関連電位 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、日本語であればコアソのような指示詞を産出する際に働かせる認知プロセスを心理・神経言語学的に解明する。特に日本語で指示詞の使用は意味・語用論的に非常に複雑であると言われ、先行研究において全体的解明が難しいだけでなく理論的説明ばかりで心理・神経的実在性がない問題がある。よって方法論としては、言語学の伝統的ディシプリンではなく、認知科学的に眼球運動や脳波の計測を用いて、指示詞を選択する直前の短い間に話者が無意識的にどのような思考や脳活動を行っているかを観察し新たな側面から理論構築を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、日本語話者を実験参加者として指示詞の理解や産出に関わる視線計測実験をデザインし実施した。共通して、異なる「聞き手」の配置や状況を含む、様々なシーンを示す視覚刺激を呈示した。理解に関する実験では、対象物に対してどの指示詞を含む文が合うかを判定させ、産出に関する実験では、視覚刺激後に指示詞を含む文を音声刺激として呈示しそれらの一致の程度を判定させた。以上の実験を大学生を被験者として行った。 現在もデータを分析中だが、全般的に言えば、ア系やコ系と比較して、ソ系指示詞の使用時で「聞き手」を注視する(総視線停留時間の値が大きい)傾向があり、「聞き手」が対象物を知覚や認識しにくい状況においてはその注視が減少する傾向にあることが分かった。これは、指示詞の理解または産出プロセスに「聞き手」から対象をどう見るかという社会的認知活動が含まれ、ソ系においてその処理が格段に大きいことを意味する。本実験では観測できないが、ソ系使用の際に、心の理論や空間的視点取得に関わる認知神経的処理がより活発に行われることを予測する結果となった。 以上の実験結果は、新しい方法論のため新奇性が高くかつ非常に実証的であるため学問的貢献や意義が大きい一方で、その信用性が確立されていないため繰り返し追試の必要性がある。次年度も引き続き同様の実験を実施し、より確実な結果と見做せられれば学会発表や論文などで研究報告を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度半ばに所属変更があり、異動先にて新たに様々な教育や運営業務に従事する必要があった。したがって、本課題に取り込む時間が当初の予定から大幅に縮小した。さらに、そのような限られた時間で幾つか予備実験を作成し実施したが、想定した結果が得られず報告するに至らないことが複数あった。以上により、進捗状況に遅れが生じ次年度に持ち越す分の研究が増加した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、第一に、指示詞の使用環境に関わる視線計測と脳波計測の実験を実施する。特に、ソ系指示詞の産出や理解において「聞き手」が担う役割を示す心理および認知的証拠を見つけることを目指す。可能であれば共同研究を実施するなどして研究を大幅に推進させたい。第二に、オンライン実験を実施し通言語的に指示詞の使用環境を比較もしくは対照させる。これまでの実験を追試するに加え、未だ調査できていない点を実験で明らかにしたい。
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