日本語数量・程度節の主部内在関係節分析:統語から類型論・神経科学までの多角的研究
Project/Area Number |
22K13119
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 02060:Linguistics-related
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
岡田 理恵子 国際医療福祉大学, 福岡保健医療学部, 講師 (60550910)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 数量・程度節 / 主部内在関係節 / 空演算子移動 / 統語論 / 日本語 / SOV語順 / 神経科学 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、日本語の数量・程度を表す節(数量・程度節)の統語論的分析に加え、類型論的観点および心理言語学・神経科学的観点から調査・分析をするものである。日本語は英語と異なり疑問詞などの要素の「移動」が明示的に確認されないが、数量・程度節では音形を持たない要素(空演算子移動)が関与すると言われてきた。その数量・程度節には多くの種類があるが(例:「花子が食べるだけ、ケーキを買った」)、その統語論的・意味論的分析が進んでいるのは比較構文に留まる。本研究では数量・程度節を包括的に扱い、分析を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本語で節の形で数量を表すもの(以下、数量節)の統語論的、類型論的、神経科学的研究を目的としている。 2022年度は、数量節のうち、「太郎は[花子が論文を読む]枚数」のような数量名詞を節がとる形式のもの(以下、「数量」関係節)を主に取り上げた。本研究で対象とする「数量」関係節は先行研究でもその統語構造について分析が行われているが、対象としている言語データの条件が一致しておらず、「数量」関係節内に動詞の項が全て表れているものとそうではないものが混在していた。そのために先行研究では分析に揺れが生じていると考えた。そこでまず数量節の条件を統一し、本研究では節内に動詞の項が全て現れているものを対象とした。その上で、(i) 節内の遊離数量位置の空所の義務性と、(ii) 島の制約に従うか否かの2点を取り扱い、数量節には統語構造の異なる2つのタイプがあることを示した。具体的には、数量節の中でも分析が進んでいる比較構文と比較しながら、「数量」関係節には(1) 空演算子移動が関与するものと関与しないものがあることを指摘した。そして、(2)空演算子移動が関与するものは、統語的に節であること、空演算子移動が関与しないものは、節部分が「主部内在関係節」+「空名詞(φ)」という構造を持ち、節部分は名詞句であるという提案を行った。この内容は第23回日本語文法学会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、2022年度(1年目)において、数量節のうち特に「数量」関係節の分析をメインとした分析を示し、国内学会での発表を行なっている。この分析において、他の数量節の分析も進んでおり、2023年度(2年目)の初旬には論文投稿予定である。また、2023年度の研究実施に向けて、主部内在関係節を許容する言語についても先行研究を通じて分析が進んでいる。以上より、概ね順調に進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、「数量」関係節以外の数量節(ダケ節、ホド節、クライ節、「半分」関係節、比較構文)に分析対象を広げ、これらの数量節は移動の関わらない1種類しかなく、移動の関わらない「数量」関係節と同様に、主部内在関係節を含む構造をしていることを統語論的分析により示す。さらに、主部内在関係節を含む構造の場合の意味論を形式的に分析する。その分析結果を査読付きジャーナルに投稿し、論文化する。 さらに、数量節だけでなく、程度を表す程度節に分析を広げ、数量節と同様に空演算子移動の関与があるかないかを明らかにする。方法は、数量節の分析に準拠する。程度節でも移動の関与しない、主部内在関係節を含んだ構造が可能である場合、この構造が日本語においてはある程度一般化できるものとして主張する。 2023年度後半には、主部内在関係節を許容する言語(韓国語を想定している)について、日本語と同様に主部内在関係節を含む数量節が可能であるかどうかを調査するための言語データを作成する。作成には九州在住の韓国語母語話者に協力を依頼する。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)