近世後期江戸語から明治期東京語における丁寧語の体系変化に関する研究
Project/Area Number |
22K13130
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 02070:Japanese linguistics-related
|
Research Institution | Jissen Women's University |
Principal Investigator |
山田 里奈 実践女子大学, 文学部, 講師 (30757331)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
|
Keywords | 待遇表現 / 丁寧語 / 丁重語 / 近世語 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、近世後期江戸語から明治期東京語における丁寧語の体系とその周辺の表現の使用を明らかにし、体系的に捉えることを目的としている。 従来、先行研究によって、尊敬表現を中心とした待遇表現の体系が示されてきたが、謙譲語の使用や丁寧語の使用をも含めた待遇表現の体系は不十分なままであったと思われる。本研究では、当期の丁寧な言葉遣いとは何かという広い視点で体系的に示していきたい。 丁寧語の体系を明らかにすることで、現代語の丁寧語の体系との比較を可能にできると考えられる。そして、体系的に整っていない箇所をどのような語句が担っていたのか、各時代の丁寧な言葉遣いとは何かを明らかにできると考えている。
|
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、「近世後期江戸語から明治期東京語における丁寧語の体系とその周辺の表現を明らかにする」という目的に対して、対象語句を決めた調査を行なうという計画のもと研究を進めた。その結果、①〈行く・来る〉の意味を表す謙譲語と「動詞連用形+ます」の関係(「近世後期江戸語における丁寧な言葉遣い─〈行く・来る〉を例にして─」2022年09月、『近代語研究』23)を示したり、②「聞き手の行為を表す動詞連用形+ます」が丁寧語の体系が整っていない時代にどのような使われ方をしていたのかを明らかにしたりすることができた(「近世後期江戸語から明治期東京語における「動詞連用形+ます」の使用」、2022年11月、『実践国文学』102)。また、③謙譲語の形式の使用についての考察も行なうことができた(「近世後期江戸語における謙譲語形式の使用―「お~もうす」、「~もうす」、「~いたす」に着目して―」2023年3月、『実践国文学』103)。 ①では、丁重語としての「まいる」と話し手の行為を表す「行きます・来ます」を比較することで、当期の丁寧な言葉遣いとはどのようなものであったかを考察した。「ます」を伴わない「まいる」が中流女性の丁寧な言葉遣いの一端を担っていたこと、「お+動詞連用形+だ」との関連性を示すことができた点で、対象時期の丁寧語の体系との関わりに繋がる研究結果を出すことができたと考えられる。②では、「聞き手の行為を表す動詞連用形+ます」は、「……することができる」という場合等に偏って使用されていることを明らかにした。現代日本語では、聞き手に丁寧に言う場合には、動詞に制限はないと思われるが、当期には偏りが見られたという点で、丁寧語の体系が整っていなかったからこその現象であることを示すことができたと思われる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は、対象語句を決めて考察を進めるという計画であり、その通り進んでいる。ただし、用例収集がすべて完了しているわけではないため、用例収集やデータ整理のスピードは上げていく必要がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、2023年度の前期までは、対象語句を決めた用例収集と考察を引き続き行なっていく。用例収集がやや遅れているため、その遅れを取り戻していけるよう、時間配分を変更する必要がある。そして、2023年度の後期以降行なう予定である、場面を設定した上での丁寧語の調査へと繋げていくつもりである。
|
Report
(1 results)
Research Products
(3 results)