Project/Area Number |
22K13180
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 02100:Foreign language education-related
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
近藤 野里 青山学院大学, 文学部, 准教授 (70759810)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | ケベック・フランス語 / フランス語教科書 / 規範 / 変種 / ケベシスム / アングリシスム / 地域変種 / フランコフォニー / 教科書 / 言語変異 |
Outline of Research at the Start |
近年のフランス語圏の社会や文化への関心の高まりから、地域変種における具体的な言語使用に関する説明も教科書に反映されるようになってきているが、地域変種の紹介はステレオタイプ的な例の提示にとどまる傾向がある。 本研究では、カナダやヨーロッパのフランス語圏の国で出版されたフランス語教科書を分析し、地域変種に特有の音声的・語彙的特徴がどのように反映されているのかを調査する。この調査から得られた研究成果から、日本のフランス語教科書への地域変種の導入方法について考察する。教科書作成者に提供する資料およびデモ教材を作成し、研究成果の言語教育への応用方法を追求し、日本のフランス語教育の刷新に貢献する。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は、カナダのケベック州で出版された教科書シリーズPar iciのB2レベルの教科書の電子化を行い、本科研計画で使用するコーパスの構築を行った。すでにコーパス化が完了したA1~B1レベルの教科書コーパスに、B2レベルの教科書コーパスを加え、ケベック・フランス語に特有な語彙(ケベシスムおよびアングリシスム)の使用について分析を行った。ケベック・フランス語オンライン辞書Usitoに収録されているケベシスムおよびアングリシスムのリストを基に、教科書で使用されている語彙を同定した。その上で、標準的な語彙と非標準的な語彙の教科書での扱われ方の違いに着目し、分析を進めた。その結果、非標準的な語彙には注釈が付いていたり、練習問題の中でその語彙が日常的な会話で用いられるものであることがわかるような工夫がなされていることが明らかになった。この研究成果の公表のために、フランスでの書籍出版計画に応募し、要約が受理された。今後は論文をフランス語で執筆し、研究成果を公表できるよう尽力する。 また、フランス語の地域変種を反映した教科書を分析対象とした先行研究(スイス、ドイツ、カナダ)のレビューを行った上で、フランスで出版された発音教本における地域変異の扱い方を分析した。発音の多様性を教科書で扱う際に、説明が簡略化されてしまうこと、またそのような説明によって学習者に変種に関する誤解を与える可能性があることを確認した。この分析結果は、『ふらんぼー』49号に論文として掲載された。 以上に加えて、ケベック・フランス語の歴史およびケベック州で出版されたフランス語教科書の最近の傾向について執筆した章が含まれる、日本ケベック学会(編)『ケベックを知るための56章』(明石書店)が出版された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請時に研究計画書に記載した「フランス語圏で出版されたフランス語教科書の調査」については、特にケベック州で出版された教科書の分析は語彙分析を中心に順調に進展した。しかし、代表者の健康上の理由もあり、計画通りに研究を進められていない側面もある。まず、ケベック州で出版された教科書分析については、すでに構築が完了したコーパスの音声分析が遅れているといえる。また、他のフランス語圏地域で出版された教科書については、当初は中等教育で使用される教科書の分析を計画していた。変異の反映方法について変種間での比較を行うためには、大人の学習者向けに作成された教科書を分析対象とすることが望ましいが、大人の学習者向けに作成された教科書で分析可能なものが見つかっていない状況である。そのため、他のフランス語圏地域で出版された教科書の分析については断念せざるを得ない可能性が出てきた。教科書への変異の反映に関わるフランス語圏での地域差は、フランスとの地理的な距離や、変種の母語話者が抱える言語不安などが考えられるため、フランス語圏における言語不安についても今後は何らかの調査を行う必要があると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は代表者の体力回復の度合いに合わせて、ケベック州で出版された教科書コーパスを基に、令和5年度に行えなかった音声レベルの分析を進める。特に、地域変種の音韻特徴の反映とインフォーマルな変異の反映(特に一人称代名詞jeおよび二人称代名詞tuの発音、代名詞il(s)における/l/の脱落、否定辞neの脱落、リエゾン)の量的分析を行う予定である。教科書におけるこれらの変項の頻度と、母語話者コーパスでの頻度を比較することで、教科書に反映されているフランス語が実際の話し言葉とどのように異なるのかを同定する。代表者の体調や体力回復の度合いに合わせて、可能であれば海外から研究者招聘を行い、シンポジウムや研究会などを企画・開催する。
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