Project/Area Number |
22K13221
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 03030:History of Asia and Africa-related
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
中村 春菜 琉球大学, 人文社会学部, 准教授 (80846866)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 台湾引揚 / 沖縄籍民調査書 / スタンフォード大学 / フーバー研究所 / 戦後教育 / 引揚港 / 台湾疎開 / 久場崎 / 学童疎開 / 教育 / 沖縄 / 地域史 / オーラルヒストリー / 沖縄同郷会連合会 / 難民 |
Outline of Research at the Start |
日本の敗戦に伴い、多くのシステムが刷新された。「教育」もその一つである。 日本帝国崩壊後の台湾には、①家族の移住に伴い台湾の学校に転入した子ども、②湾生と呼ばれる台湾で生まれた育った子ども、③戦時疎開した子どもなど、多くの沖縄人の子どもたちがいた。沖縄戦で壊滅状態に陥った沖縄へ引揚げる将来を担う子どもたちへの教育は引揚げるまで課題の一つであり、重要な関心事でもあった。 戦後台湾にできた沖縄人子弟専用の学校は1年も開講されておらず、ある意味「幻の学校」と言える。現段階で4つの沖縄人子弟専用の学校があったことがわかっている。資料や人々の記憶の掘り起こしを行い「幻の学校」実態を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、戦後台湾における沖縄人の動向について、特に引揚待機時の沖縄人教育の実態を明らかにすることである。2023年度前半は沖縄県内市町村史誌(那覇市、北中城村史、与那原町史、大里村史、名護市史他)や新聞記事、援護局史等から台湾疎開・引揚、戦後教育に関する証言記述の抜き出しや収集資料整理を行った。後半はアメリカ、台湾、多良間島、沖縄本島内にて台湾引揚者や台湾での教員経験を母に持つ家族らに聞き取り調査及び資料収集を行った。 アメリカでは、米国国立公文書館やSeabee museum、スタンフォード大学などで資料調査を行った。特に、Seabee museumでは海軍によるポンツーン建設の様子を見学することができ、沖縄県出身台湾引揚者の引揚る際の様子が理解できた。スタンフォード大学フーバー研究所ではジョージ・H・カー氏の資料群の中から在台沖縄人による自筆の資料(「沖縄籍民調査書」)を収集できた。聞き取り調査の際は、台湾で受けた教育や科目、教員の氏名、多良間島や宮古島での教員生活に台湾経験がどのように還元されたのかを中心に質問した。 2023度は成果発表として、台湾中央研究院太平洋鄰里協會秘書處と共催で運営した。学会では主に台湾の博物館関係者やデジタルアーカイブ関係者らと討議したり、スタンフォード大学や高雄大学、台湾師範大学、高麗大学等の研究者とアジア関係資料に関する情報交換を行った。 2023年度は、当初の計画通り海外での資料調査を進めることができ論文執筆の準備を進めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、沖縄県内の市町村史誌等から台湾疎開・引揚を中心に証言を収集した。アルバイト学生は昨年よりも多く雇ったため、8市町村180冊確認することができた。とはいえ、沖縄県内の市町村史誌は1,600冊余りあるため、取捨選択しながら研究期間内に鋭意継続して証言収集に努めたい。 聞き取り調査に関しては、市町村史誌編さん室や沖縄県内新聞社に協力を求めたり、知人から紹介を受けるなど、おおむね順調に進んでいる。聞き取り調査に関しては時間との闘いでもあるので、こちらも急いで体験者の声に耳を傾けたい。 計画通りアメリカでの資料調査はできたが、台湾調査はできなかった。そのため、次年度に持ち越したい。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、当初の計画通りアメリカにて資料調査を実施することができた。フーバー研究所のみならず、米国国立公文書館にも赴き、海軍の撮影した1945~1946年当時の沖縄の引揚港・久場崎の記録も確認することができた。 市町村史誌も着実に記録の確認をとることができている。それ以外にも、学校誌関連の記録も確認を進めている。 引き続き地域史誌や学校記念誌等からの証言収集と聞き取り調査に務め、地域への還元と学会発表、論文発表を行う。 万が一、再び海外渡航が厳しい状況になれば、現地での調査協力者に依頼し資料収集を行う。
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