近代日本の「野菜」「果物」認識―北東北地方を中心として―
Project/Area Number |
22K13252
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 04020:Human geography-related
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
花木 宏直 関西学院大学, 文学部, 准教授 (80712041)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2026: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2025: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | マルメロ / 缶詰 / アキタフキ / 食用菊 / 干菊 / 薬種 / 嗜好品 / 野菜 / 果物 / 価値志向 / グローバル化 / 近代日本 |
Outline of Research at the Start |
本研究は,近代日本における野菜や果物の利用について,生産や加工,流通,消費の実態と,消費をめぐる価値志向のあり方を総合的に検討することを目的とする。その際,グローバル化の進展に伴う食習慣の変容という視角を意識する。研究対象地域として,欧米と同様に冷涼な気候をもち,近代以降に外来種の導入や在来種の生産拡大など多様な展開がみられた北東北地方を選定し,産地の動向や消費のあり方に関する聞き取りなどの現地調査を行う。本研究を通じて,現代とは大きく異なる近代特有の「野菜」や「果物」に対する認識や,近代以降における加工利用の比重の低下など利用法の変化に伴う両者の認識の分化の過程の解明をめざす。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は主に、マルメロに関する研究成果のとりまとめと、アキタフキと食用菊に関する資料調査を行った。 マルメロに関する研究成果については、令和4年度までに収集した資料の分析と、令和5年度に補足調査を行った近代資料およびマルメロ果実、缶詰や羊羹、飴などのマルメロ加工品をもとに、近代日本におけるマルメロの生産・流通・消費を総観した内容を紀要論文としてまとめた。 アキタフキに関する資料調査については、マルメロに関する調査で同一資料に記述があるなどのため派生的に得られた資料に加え、秋田県立図書館などでの近代資料の補足調査を行った。その結果、アキタフキは山地に自生かつ規格の大きさゆえ近世には蕗摺など観賞用として利用されたが、近代前期に秋田市近郊に移植され栽培化し、蕗砂糖漬が開発され土産物となり、近代後期には野菜としての県外移出や醤油味の総菜としての利用が提唱されるなど、野菜化していく過程が明らかになった。 食用菊に関する資料調査については、主要産地である南部地方(青森県、岩手県)の現地調査と、八戸市立図書館および青森県立図書館、岩手県立図書館、洋野町立種市図書館などでの古文書および近代資料調査を行った。その結果、食用菊は近世に観賞用菊から生み出されたが、近世から近代前期にかけては食用菊と観賞用菊の区分があいまいであったことや、食用としては粕漬などがみられたこと、近代前期に僧侶を介して食用菊生産および干菊製造の普及が図られたしていたことなどが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度については、マルメロに関する研究成果のとりまとめと、アキタフキおよび食用菊に関する調査を実施した。令和5年度までに、本科研の申請時に想定していた主要な研究対象(マルメロ、フキ、ハスカップ、食用菊)についてひと通り研究を着手できた。今後、資料分析の進展に応じて、適宜研究成果の報告へ進めたい。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度については、まず、本科研に先立ち取り組んできた研究であり、かつ本科研と同じ問題意識をもつ、近代日本における柑橘需要の多様性に関する研究に立ち返り、研究の進捗を図る。具体的には、近代前期に大阪府泉州地方でみられた柑橘園見物(現代のみかん狩りとは異なる)の実態と、近代における九州地方の温州蜜柑を主力としない柑橘品種(文旦、椪柑など)および需要の実態の検討を行う。これらの成果は、令和7年度にとりまとめを行う予定である。 一方、アキタフキと食用菊、ハスカップに関する補足調査を進め、いずれか進捗しだい、令和6年度後半から令和7年度にかけて成果のとりまとめを行うことを目指す。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)