Citizen's Movements and its Conditions for Food Security: Basic Research for the Construction of Urban Food Policy-.
Project/Area Number |
22K13258
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 04020:Human geography-related
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
小林 基 摂南大学, 国際学部, 講師 (10845241)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | フードポリシー / ファンコミュニティ / 都市農村交流 / 都市郊外 / 郊外農村 / フードセキュリティ / 食農に関連するガバナンス / 都市-農業関係 / 市民活動 |
Outline of Research at the Start |
ポストCOVID-19および新冷戦の時代における都市のフードセキュリティ確保は大きな課題である。本研究では「フードポリシー」に関する既往の研究を参照しながら、日本を中心にフードセキュリティ確保や食と農の活性化を図るさまざまなボトムアップの運動・活動(マルシェ、貸農園、子ども食堂、都市農村交流事業等々)を調査し、次世代の都市フードセキュリティとそのガバナンスを展望するための基本的な枠組みを検討することを試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、国内都市圏におけるフードポリシーを市民参画によりボトムアップ的に構築するための基礎的知見を得ることを目的に、イノベーション研究の観点から食料供給に携わる人々の活動展開(マルシェ、子ども食堂、都市農村交流等)とその条件について解明することを試みるものである。 初年度である2022年度は、マルシェおよび都市農村交流に着目し、大阪大都市圏内の諸地域(尼崎市、富田林市、東大阪市、枚方市、豊岡市、京田辺市、松原市等)において、推進主体への聞き取りを通じ、活動展開とその条件、直面している課題の把握に努めた。 この結果、これらの地域では、主に農家が関与して地域内外のさまざまな人々からなるファンコミュニティを形成するための創意工夫を行い、一定の成果を上げていた。それには特産品の開発、マルシェの開催、農業塾の開設、体験農園の運営などが含まれ、そこでは非農家や異業種の人材の貢献がみられる。また大阪府農業会議などを通じ、異なる地域の農家が意見交換をしてきたことも分かり、それが活動を推進するうえで一定以上役立っていることも判明した。 これらの事例は、いずれも都市郊外にあたり、農業や自然体験を楽しむファンを他地域から集める一方、伝統的な村落に住む人々とニュータウン居住者との架橋の面で課題を抱えている。互いに近接して居住していながらも交流が生まれず、地域を巻き込むような形での活動展開が阻まれている状況にある場合も多い。他方で、子育て中の女性たちが食育を目的として農家と関係を築いている事例にもふれることができ、今後こうした消費サイドからのネットワーク形成について検討することで、課題解決への糸口が見える可能性もあるといえる。 今年度の成果については、都市地理学および土木計画系研究者が集まる国際ワークショップおよび学術雑誌に投稿予定である。なお、すでにエントリー済みで、現在原稿を作成している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
先述の通り、多くの地域へ調査に赴くことで大阪大都市圏の郊外における動向を把握したことと、そこにある程度共通する構造と課題を見出すことができた点で、順調に成果が得られていると考えている。国内大都市圏の郊外においてフードポリシーを構築する方策や乗り越えるべき問題を整理する手がかりも見え始めている。また、年度内にはかなわなかったものの、次年度に学会での成果報告を行う予定であり、年度内にそのための原稿作成に着手しており、その点では研究課題をうまく進められていると考えている。 他方で、今年度に延長された他の科研費研究課題(研究活動スタート支援)を進める必要があったこと、年度後半に突発的な要因(大学内での新たな業務の発生)によって多忙となったことから、大阪府内における食料安全保障をめぐるイノベーションの条件についての定量的な分析(潜在的な主体の有無や農地の活用状況等)については十分に進められていない。また、情報収集が実現した事例が郊外エリアに集中しており、都心部などとの比較は行えていない。いずれも今年度に得られた知見を適切に意義づけるうえで必要な過程であり、来年度以降に推進したい。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、7月にイギリスで開催される都市地理学・都市計画系の国際ワークショップ(17th Workshop on “Social Capital and Development Trends of Countryside in Knowledge Society”, Inverness, July 24-25, 2023)において本研究成果を報告し、査読論文として2022年度の成果をまとめた原稿を投稿する予定である。 次に、年間を通じ、都心部における実践活動の展開についての情報収集を進めたい。郊外においては農家が主体となっている事についての情報が多く収集できたが、都心部では消費サイドからの働きかけによる活動展開が多いと考えられる。また、市民・各種事業者・行政担当者など多様な主体間連携が行われていることが先行研究から推定できる。都市における多様なインフォーマントへの聞き取りを通じて都市フードポリシーの構造を多次元的な視角から解明する。 さらに、上記と並行して、先述の通り大阪府内における食料安全保障をめぐるイノベーションの条件についての定量的な分析(潜在的な主体の有無や農地の活用状況等)を進めることで、昨年度の事例地域の位置づけを明確にし、他地域との比較可能な知見を導きたい。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)