Project/Area Number |
22K13261
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 04030:Cultural anthropology and folklore-related
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Research Institution | Ritsumeikan University (2023) Shinshu University (2022) |
Principal Investigator |
後藤 健志 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 特別研究員(RPD) (70825504)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2025: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | アマゾニア / アヤワスカ / 環世界 / アグロフォレストリー / 生態人類学 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、知覚と作用を介した生物と世界の相互関係を意味する「環世界」の概念に立脚し、アマゾニア熱帯林の破壊という環境危機への打開策を模索する。そこで、ブラジル・アマゾニアの植民者たちによって実践されるアヤワスカ宗教に注目し、人間にとっての環世界の再構成が、熱帯林における多生物種間の協働や人間を含めた生態系全体の治癒へと寄与しうる可能性を探究する。調査では、精神展開性の薬草茶アヤワスカを介して植民者の内界で経験される知覚の再構成とアヤワスカの獲得に向けアグロフォレストリーの形で営まれる外界への作用の再構成の相関性について、生態人類学の手法を通じて明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、アマゾニアにおけるアヤワスカ宗教の実践について環世界の観点から接近し、アヤワスカを介して人間の内界で経験される知覚の再構成と同茶を獲得するためにアグロフォレストリーなどの形で営まれる外界に向けた作用の再構成の相関性について考察する。 2023年度の前半は、前年度にブラジル・アクレ州などで行った実地調査から得られたデータを過去の調査資料および先行研究と比較し分析した。 研究成果として、2024年に刊行予定の『(仮)社会:霊長類学と人類学の新たな協働をめざして』(京都大学出版会)に「生態・生理・認知のまじわるところ:サイケデリック宗教の観点から考える社会性の進化」と題する論文を寄稿した。同論文では、アヤワスカ宗教の実践から生じる変性意識状態について、同宗教に固有な「植物からの教え」や「治癒」などの観念を参照に考察し、人類の「社会性の進化」との関連から描き出すことを試みた。 年度の後半では、アヤワスカ宗教の成立背景を「シャーマニズム」との関連から捉えることを試みた。その際、アメリカ先住民の観点主義に関する諸理論を参照にした。先住民と植民者の遭遇を両者の共創的な生成変化として捉えることで、現代のアヤワスカ宗教にみられる諸特徴が形作られた歴史的過程への理解が深められた。 研究成果として、現代文化人類学会シンポジウム「「大地的なるもの」の人類学 :人新世における「人間」と「自然」」で、「ブラジル・アマゾニアにおける文化的領土の策定をめぐる工学的過程:アヤワスカを介した人間と植物の生成変化」と題した口頭発表を行った。また、国立民族学博物館共同研究会「グローバル資本主義における多様な論理の接合:学際的アプローチ」で、「採取経済の末端に働く権力の観点主義的解釈: アマゾニアの「ゴム園」におけるシャーマニズムをめぐる歴史的考察」と題した口頭発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
論文および口頭発表という形による研究成果の公表に関しては、おおむね順調に進んでいる。また、データ分析および理論研究に関しては、大きな進展がみられた。一方、2023年度に計画していた実地調査に関しては、他の業務に追われ、実施することができなかった。そのため、年度全体としては「やや遅れている」という自己評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策としては、まず執筆に関しては、2023年度と同様のペースで進めていく。一方、実地調査に関しては、2023年度に生じた遅れを取り戻すため、2024年度に2回のブラジル渡航を計画している。 1つ目は、アヤワスカ宗教のブラジル国内における諸動向を欧州や北米など西半球諸国との関連から捉えていく調査である。調査地としては、欧米諸国と地理的・歴史的につながりの深いアマゾニア東部のパラー州やトカンチンス州を対象とする。この調査では、アヤワスカの製造儀礼に関して参与観察を行い、生態系からアヤワスカが抽出され流通する過程の詳細な把握を目指す。 2つ目は、アマゾニア西部アクレ州を流れるジュルア川流域を対象とした調査である。この調査では、先住民やゴム採取人による文化的領土の策定およびその域内における景観の形成をめぐる政治を、アヤワスカ宗教の実践との関連から捉え、アマゾニア的環世界の再構成に関するさらなる理解を深める。
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