現代インドネシアにおけるムスリム男性の育児とイスラーム主義
Project/Area Number |
22K13267
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 04030:Cultural anthropology and folklore-related
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Research Institution | Ishinomaki Senshu University (2023) Toyo University (2022) |
Principal Investigator |
西川 慧 石巻専修大学, 人間学部, 准教授 (50937927)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
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Keywords | イスラーム / 男性性 / 母乳の父親 / 現代のヒジュラ / インドネシア / ジェンダー / 育児 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、インドネシアの首都ジャカルタ近郊に住む都市中間層ムスリムを対象として、これまで注目されてこなかったムスリム男性の家庭内での役割と育児に注目することで、ムスリムの男性と女性が複数のジェンダー規範のなかで揺れ動きながら、いかなる家庭生活を営んでいるのか具体的に明らかにする。そのうえで、インドネシアにおける男性性の多義性と変化を動態的に描き出すとともに、従来のステレオタイプ化されたイスラームとジェンダーをめぐる議論を脱構築していくことを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、インドネシアの首都ジャカルタ近郊に住む都市中間層ムスリムを対象として、これまで注目されてこなかったムスリム男性の家庭内での役割と育児に注目することで、ムスリムの男性と女性が複数のジェンダー規範のなかで揺れ動きながら、いかなる家庭生活を営んでいるのか具体的に明らかにする。そのうえで、インドネシアにおける男性性の多義性と変化を動態的に描き出すとともに、従来のステレオタイプ化されたイスラームとジェンダーをめぐる議論を脱構築していくことを目指している。 本年度は、昨年度にて十分に調査をすることができなかった「現在のヒジュラ運動」(享楽的なライフスタイルを捨て、イスラーム成立初期の宗教道徳へ回帰する)について、より焦点を絞った調査を行った。2回の海外調査を通して、同運動のなかでもジャカルタ南部を活動の中心とする団体について、彼らが主催するセミナーへの参与観察、関係者へのインタビューを行った。また、昨年度から実施しているタンゲラン市周辺での現地調査に加えて、子育て世代へのインタビューとライフストーリーの収集を行った。 その結果として、参与観察を行った「現代のヒジュラ運動」の団体では、夫婦関係に関するセミナーを頻繁に開催していることが明らかになった。そのセミナーのなかでは男性/女性の区別は明確に意識されている一方で、家事と育児がクルアーンにおいて女性の義務とされていないことや、預言者ムハンマドが家事を行っていたことを示唆するハディース(預言者ムハンマドの言行録)を取り上げていた。同団体は、以上の点を取り上げることで、インドネシアで一般的な男女分業体制を乗り越えつつ、グローバルなジェンダー平等とも異なる、新たな家族像を生み出そうとしていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題はおおむね申請書通りに進展している。 2023年度は研究発表を通して本研究課題の議論を洗練させていく予定であったが、所属機関の移動も重なったことから、十分に準備の時間を取ることができず、本研究課題との関連では実施することができなかった。 一方で、2023年度には、昨年度の調査で十分にデータを得ることができなかった「現代のヒジュラ運動」について、まとまった調査を実施することができた。その成果は2024年度にまとめて研究発表や投稿論文のかたちで発信していく予定である。 また、2023年度にはオートエスノグラフィを主題とする論文集の編集し、出版した。そこでは申請者の家族とイスラームをめぐるオートエスノグラフィが掲載された。そのほか、過去の研究データを男性性という視点から再分析する試みについても順調に進行し、国内外の査読付きジャーナルへの投稿予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、補足調査を行いながら、申請書通りに研究成果をまとめて査読付きジャーナルに投稿する予定である。補足調査では、イスラームにもとづいた新たな家族像の模索が「現代のヒジュラ運動」に共通した点なのか明らかにするため、昨年度の調査協力団体以外に対してもアプローチすることを検討している。また、具体的な育児とライフストーリーの収集は継続して実施する予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)