Project/Area Number |
22K13280
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 05020:Public law-related
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
小川 亮 東京都立大学, 法学政治学研究科, 助教 (00907850)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
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Keywords | 司法審査 / 民主的正統性 / 民主主義 / 取消訴訟 / 原告適格 / 審査基準論 / 行政裁量審査 / 行政裁量 |
Outline of Research at the Start |
これまでの行政裁量審査論は、判例が従うべき適切な司法審査方法を提示出来ていないことが共有されている。そこで、憲法学において、判例の指導的役割を果たすべきものとして発展してきた審査基準論を、行政裁量審査にも応用することによって、行政裁量審査論が陥っている陥穽をブレイクスルーできるはずである。そこで、本研究においては、論証責任論をメタ倫理学・認識論の知見を用いて正当化するとともに、論証責任論を介して審査基準論を様々な行政法判例に応用することで、行政裁量審査基準論を定立することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、引き続き博士論文の執筆・刊行を行うとともに、日本の行政法学の理論的研究を行った。後者として具体的には、①日本の行政法学に大きな影響を与えたクリストフ・メラースの正統性論の体系的研究を行うとともに、②ドイツ法の知見を用いた権利論の批判的検討や、③日本行政法における取消訴訟の原告適格論についてリベラリズムの視点から整理及び検討を行った。以下敷衍する。 ①においては、日本の憲法学や行政法学に頻繁に見られる自律に基づいて一元的に国家を正当化しようとする試みがなぜ蹉跌するのかを実例を用いて批判的に示している。さらに②においては、何がどのように重要かを憲法学上議論することを回避しようとする篠原永明の議論の問題を剔抉した。これらの業績は、日本の行政法学の大部分が暗黙裡に前提としている、自律一元論やあるいは価値論の回避が不可能であることも示唆している。そのため、私が博士論文で示したように、価値論に真正面から向き合って、行政裁量審査を統制する規準を剔抉する必要が生じるのである。 これを取消訴訟の原告適格論の文脈で示したのが③である。取消訴訟の原告適格論においても、行政法学は、判例の枠組みを基本的には踏襲しているがそれには価値論上の大きな問題があるため、行政法学は独自の枠組みを開発する必要があると考える。この研究については、媒体の特性もあり、序論的な問題提起として完成させたため、更なる学説研究が必要であると考えている。この点については2024年度以降の研究課題としたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
博士論文の執筆・公刊及びそれに付随する基礎固めの研究が順調に進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在まで研究はおおむね順調に進んでいるが、行政裁量審査基準論の更なる具体化及び適用が必要と考えている。2024年度は、博士論文の書籍化に向けたさらなるブラッシュアップを行う予定であるので、そこで行政裁量審査基準論の基礎をさらに固めるとともに、その具体的適用例を増やしていきたいと考えている。 また、行政裁量審査に入る前の取消訴訟の原告適格論について、網羅的な学説史を踏まえた上での研究も今後の課題とする。
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