本研究は、日米の裁判官選定罷免手続を比較研究する。従来日本において裁判官が必ずしも民主的な公職ではない、という認識があることが研究の背景にある。これに対して本研究は、憲法上の裁判官選定罷免制度をめぐる状況からは、むしろ裁判官が国民に対して答責性を有する公職であるし、そうであるべきことを明らかにすることを目的とする。この研究は、制度としては民主的な日本の裁判官選定罷免手続が、その運用にあたって形骸化している原因として、 国民のなかでの裁判官人事に関する情報の流通が少なく、裁判官が判決を下すにあたって国民の考えに沿おうとするインセンティヴが働かない、という問題とその解決策を示す、という意義がある。
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