Project/Area Number |
22K13297
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 05050:Criminal law-related
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
南迫 葉月 神戸大学, 法学研究科, 准教授 (90784108)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 協議・合意 / 企業犯罪 / 司法取引 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、取引による処罰の公正さを確保しつつ、効果的な企業犯罪対応を実現するため、どのように合意制度を構成すべきかを考察する。同制度は、標的者の処罰を実現するため、その捜査や公判に協力した協力者の処罰を控える又は軽くするものであることから、処罰の効率性と公正性が対立しうる。そこで、本研究は、誰と取引をして誰を処罰すべきかという合意制度の趣旨を検討することで、取引によって効率的に実現すべき公正な処罰とは何かを明らかにする。次に、取引による処罰の効率性と公正性の調和点を見出した上で、効果的な企業犯罪対応を実現するために合意制度をどのように改善すべきかを模索する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、取引による処罰の公正さを確保しつつ、効果的な企業犯罪対応を実現するため、どのように協議・合意制度を構成すべきかを考察する。日本の協議・合意制度は、標的者の処罰を実現するため、その捜査や公判に協力した協力者の処罰を控える又は軽くするものであることから、処罰の効率性と公正性が対立しうる。そこで、アメリカ及びイギリスにおける取引に基づく刑事処分をめぐる法状況・議論状況を調査・分析し、それを参考に効果的な企業犯罪への対応を実現するために、現行の合意制度をどのように改善すべきかを検討する。 以上の構想に従い、令和5年度はイギリス法の基礎調査を行うことを計画していた。具体的にはDPA・NPAに関する基礎的な文献を収集し、その理論的枠組や実際の運用状況について分析・検討を行った。また、前年度に引き続き、アメリカ法における議論についても調査を続け、イギリス法との比較検討を行った。 そして、このような調査結果の一部を論文の形式で公表した。「司法の廉潔性」と題する論文では、処罰の公正さに密接に関連する「廉潔性」という概念について考察した。具体的には、アメリカ法やカナダ法の調査をもとに、違法収集証拠排除法則の理論的根拠とされる「司法の廉潔性」の意義・機能を分析・検討した。違法に収集された証拠に基づき処罰すること・しないことが、処罰の公正さにどのように影響するのかを明らかにすることは、取引による処罰の公正さを考える上で参考になるものと考えられる。 また、「約束による自白」と題する論文では、利益供与と引換に得られた自白の証拠能力に関する重要判例を分析した。取引による処罰の在り方を考える上で、取引により得られた証拠の証拠能力の有無を明らかにすることは重要な前提となり、本研究の基礎・土台をなすものといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和5年度は、基礎的な文献の収集・分析を通じて、アメリカ及びイギリスにおけるDPA・NPA・答弁取引に関する法状況を調査することを予定していた。 上記の通り、その計画に基づき行った調査結果の一部を公表することができたものの、研究代表者は7月末から産前産後休暇ならびに育児休暇を取得したため、半年以上にわたり研究を中断することとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、前年度に遅れていた調査を再開し、引き続きアメリカ法とイギリス法の基礎的な文献の調査を続けることとする。すなわち、DPA・NPAなど企業犯罪を中心とする取引の問題点を分析し、裁判所をはじめとする多様な機関による統制の在り方を調査する。 さらに、令和6年度は、米国・英国の基礎的な文献の調査と並行して、応用的文献も参照することで、より深く理論的背景を探るとともに、取引的手法を用いる問題点や、各国が有効に企業犯罪を摘発できた要因を明らかにする。また、日本における法人処罰の議論や、合意制度の運用状況・問題点を調査・分析することも予定している。
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