Project/Area Number |
22K13304
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 05050:Criminal law-related
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Research Institution | Shinshu University (2023) Ryukoku University (2022) |
Principal Investigator |
大谷 彬矩 信州大学, 先鋭領域融合研究群社会基盤研究所, 助教(特定雇用) (00801622)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2025: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 未決拘禁 / 代用監獄 / 戒具 / 欧州刑事施設規則 / 未決拘禁の執行 / 身柄拘束 / 刑事施設処遇法 / 少年の未決拘禁 |
Outline of Research at the Start |
ゴーン事件を契機として、訴追前の長期にわたる未決拘禁や接見禁止など、日本の特異な未決拘禁制度は国際社会から激しい批判にさらされた。未決拘禁は、肉体的、心理的弊害が認識されており、それに対する配慮が欠かせない。また、日本には少年に特化した未決処遇もほとんどないという問題もある。本研究は、ドイツを対象として、未決拘禁執行の基本原則とその具体化、少年と成人の未決拘禁処遇の差異を明らかにすることを目的とする。これによって、国際人権基準の充足に努め、欧州地域の重層的な人権保障システムの中に組み込まれている国家における未決拘禁の在り方が明らかとなり、わが国の未決拘禁制度の改革につなげることが期待できる。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、前年度の基礎調査を基に、成人に対する未決拘禁に関する調査を本格化させることを予定していた。 折しも日本では、2022年12月に愛知県岡崎署で勾留されていた男性が死亡する事件が発生し、未決拘禁の問題性がにわかに注目されることになった。研究代表者自身も新聞社の取材を受け、勾留決定後も警察留置場を拘置所の代用として使用する「代用監獄」の問題を指摘した。具体的には、刑事施設では使用が許されていない戒具が、留置施設では許容されていることや、使用の態様が留置施設では厳しく制限されていないことが問題であることを述べた。記事にはなっていないものの、未決拘禁施設である留置施設の問題性を改めて認識する機会となった。 また、前年度に引き続き、未決拘禁に関する国際的スタンダードを調査し、2020年に改訂された欧州刑事施設規則の翻訳資料の続編を発表した。続編では欧州刑事施設規則の後半部を訳出しており、そこでは第7部として「未決拘禁」が独立して定められている。ただ、改訂前の2006年規則と比較したとき、この箇所において新しく変更された箇所はほぼないことが明らかになった。 その他、本研究では、少年の未決拘禁についても検討対象としている。少年に関わる研究として、日本で2019年に実施した「国際自己申告非行調査」(ISRD)に関する研究成果を公表した。調査の過程では様々な課題に直面し、特に、調査の参加校確保の問題や、生徒に対する被害体験を質問票に盛り込むことができないなどの問題は深刻であった。そこで、ドイツにおける調査の実施状況を、テクニカル・レポートを基に確認し、日独の調査手法を比較し、ドイツその他の国々で得られた被害体験に関連する結果を確認した。これらの調査は、未決拘禁にも関わる非行・犯罪状況として、今後の研究に役立てることが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は成人に対する未決拘禁の調査を進めることを計画していた。愛知県岡崎署の死亡事案を契機として戒具に関する調査を行ったほか、未決拘禁者と類似性がある死刑確定者の処遇に関する判例批評を発表することができた。また、2022年度に立ち上げた矯正判例研究会において、拘置所の被収容者に対して閉居罰中に一定の姿勢を強制することが憲法13条等に違反しないとされた事例について検討を行うなど、有意義な調査を行うことができた。 ドイツの成人に対する未決拘禁については現地調査を実施することができなかったため、翌年度以降の課題として実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、前年度に実施できなかった成人に対する未決拘禁の現地調査を行うほか、少年に対する未決拘禁の文献調査および現地調査を行うことを予定している。また、これまでの成果を学会で発表し、レスポンスをもらうことで、今後の研究を発展させることを企図している。
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