Project/Area Number |
22K13321
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 06010:Politics-related
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
上田 悠久 茨城大学, 人文社会科学部, 講師 (70844546)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | ホッブズ / ヒューム / 私益 / 公益 / 利己主義 / 慈善 / 勤労 / 啓蒙 / 専制 / 宗教 / ホッブズ主義 / ロック / 公益と私益 / 政治思想史 |
Outline of Research at the Start |
17世紀イギリス(ブリテン)の思想家が、私益と公益の相互作用を、政治によって実現するべき課題として認識していたこと、そして18世紀イギリスの思想家によって、この課題のもつ政治的性格が転換されたことを、17世紀のホッブズとロック、および18世紀のヒュームらの議論を通して考察する。これまで17世紀の課題とはされてこなかった私益と公益に注目し、その調停主体としての権力の意義を考察することで、利害調整の場としての政治の意義を問い直す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ホッブズの私益と公益に関する議論について本格的に検討を行った。まず「他者の善」を志向するとされるホッブズの慈善論について検討を行い、慈善には情念と行為の両側面があることを指摘し、研究会で報告した。これにより、私的利益を追求する人間像はそのままに、他者の善を促進する活動が是認されることを確認し、「心理的利己主義」と言われるホッブズ像に修正が必要であることも示せた。次に、ホッブズの公的慈善論を手がかりに、コモンウェルス内に於ける私人の私益追求活動と、全体の利益を追求する政治的行為の関係について検討し、学会で報告した。これにより、ホッブズが勤労を前提としたコモンウェルスを構想していること、コモンウェルスの設立目的である平和も安全な勤労のためであることを明らかにした。また18世紀の啓蒙の時代における「私悪は公益」の先駆けとなる議論が不十分ながらもホッブズに見いだせることを指摘した。さらに前年度に引き続き、啓蒙の時代の代表格とも言えるヒュームの『イングランド史』におけるホッブズ論を検討し、紀要論文にまとめることができた。以上の研究成果に加え、啓蒙思想の研究者を招聘し、啓蒙について検討するシンポジウム「啓蒙の両義性、多義性を考える」を主催・開催し、啓蒙の今日的な意味について議論することができた。このシンポジウムではホッブズの〈啓蒙〉論について考察する視座を得たので、研究をすすめ年度末に学会で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、前年度に行えなかったホッブズそれ自体の検討を行いまとめることができたため、ホッブズ研究についてはテーマを多少変更したものの概ね順調と言える。一方ジョン・ロックやデイヴィッド・ヒュームの私益/公益論については十分な研究を行えてはいない。またコロナ禍による渡航制限解除に伴い海外出張を検討したものの、円安の影響もあり、また原稿執筆を優先するべく、渡航は断念した。それでも国内に於いては学会参加や報告、また東京での資料調査を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
まず本研究を、ホッブズを軸に18世紀における私益/公益論の転回を検討するものとして再構成したい。18世紀に限らず19世紀にも私益/公益論にかんする議論はあるので、研究対象を再考したいと考えている。本年度に学会で報告したホッブズ研究については、すでに報告原稿の形でできあがっているので、修正の上で日本の学会誌(査読つき)に投稿したい。可能であれば、英文雑誌への投稿も検討する。また海外渡航は円安の長期化が予想されるため、状況を見ながら判断したい。
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