Project/Area Number |
22K13351
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 06020:International relations-related
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松村 尚子 神戸大学, 法学研究科, 教授 (20778500)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 国際政治 / サーベイ実験 / 国際機関 / NGO / 世論 / 感染症 / 環境 / 人権 / NGOs / ネット検索動向 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、国際公共問題(感染症・ 環境・人権)に関する人々の情報源として国際機関が果たす役割を検証する。具体的には、国際機関の情報に対して、一般の人々がいつ・どの程度アクセスするのか、また、国際機関の情報が個人レベルの行動や態度に影響するのか、について明らかにする。 情報アクセスの検証には、各国際機関についての人々のインターネット検索量を指標とする計量分析を用いる。情報が世論にあたる効果の検証には、サーベイ実験を用いる。近年、国際公共問題の解決には、人々の行動変容がカギを握っており、国際機関と人々の直接的な関係を明らかにすることは政策的な重要性を持つ。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、国際公共問題に関する情報源として国際機関に焦点を当て、(1)国際機関の情報発信に対する人々のアクセスの程度やタイミング、および(2)その情報が個人の行動や態度にどのように影響するかを検証することである。その際、非政府組織(NGO)などの他のグローバルアクターが発信する情報の効果と比較することが特徴である。令和5年度の主な成果は、(2)に関する以下の2点である。 第一に、1年目の基礎調査に基づき、2つのサーベイ実験を計画・実施した。1つ目の実験では、環境と食の安全に関する国際機関の情報発信の影響を検証した。具体的には、福島第一原子力発電所の処理水放出を事例に、国際原子力機関(IAEA)の評価が、海洋汚染や日本産海産物に対する他国の人々の安全性認識にどのように影響するかを、韓国人被験者を対象に実験を行った。2つ目の実験では、安全保障分野における国際機関及び非政府アクター(軍事や研究者)の発言の効果を検証した。具体的には、核兵器の保有を事例に、専門機関や専門家の発言が核兵器の保有や安全性に対する人々の認識に及ぼす影響を検証した。この実験結果の一部は、国内外の学会及び、ミシガン大学のセミナーで報告した。 第二に、1年目の文献調査をもとに、「国際組織と世論」という題で約1.2万字の原稿を執筆した。この原稿は、国際組織をテーマとする書籍(2024年度中に刊行予定)に掲載される予定である。また、新型コロナのワクチン接種を事例に、世界保健機関(WHO)、研究機関やゲイツ財団などNGOによるワクチン推奨の有無が、人々のワクチン接種を促進するかどうかについて論文にまとめた。この論文は2024年度のEuropean Sociological Associationの年次大会に応募し、採択されたため報告する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、初年次の基礎調査(文献調査を含む)の結果を基に、2つの論文を完成させることができた。また、環境分野と安全保障分野を対象にサーベイ実験を行い、その結果をまとめ上げた。これらの成果は、2024年度のAmerican Political Science Associationの国際学会で報告することが決まっており、同時に学術誌への投稿準備も進行中である。報告後には、学会でのフィードバックをもとに修正を加えて投稿する計画であり、概ね順調に進んでいる。しかしながら、当初の計画では人権分野においても実験を行う予定であったが、具体的なトピックとアクターの特定に時間がかかり、実施に至らなかった。 以上を総合して、「(3)やや遅れている」と判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの到達度を踏まえて、来年度は、次の2点を中心に研究を進める予定である。 第一に、上述の処理水に関する実験結果を学会で報告し、得られたフィードバックを基に加筆修正を行い、英文雑誌に投稿することである。可能であれば、韓国人被験者を対象に追試を行うと主に、日本人被験者を対象にした類似の実験を行い、結果の時系列的な変化や頑健性を検討することも考えている。 第二に、人権分野におけるサーベイ実験の計画・実施である。また、来年度が最終年度であるため、これまでに行った複数の実験結果を比較しながら、国際機関及びグローバルアクターと世論の関係について、特徴や差異を明らかにし、論文としてまとめる作業に取り組みたい。
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