Project/Area Number |
22K13352
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 06020:International relations-related
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
李 鍾成 九州大学, 法学研究院, 学術研究員 (90802215)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 冷戦末期 / 日米同盟 / 米韓同盟 / 日米韓関係 / 防衛分担金 / 米軍縮小 / デタント期 / 日米韓の関係史 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、冷戦期間中のデタント期、及び1990年を前後にした冷戦末期において、沖縄返還、米軍縮小と基地調整、防衛分担金等の問題をめぐって、日米、韓米、さらに日米韓の政策がいかに関わってきたのか、その経緯を解明することにある。日米と米韓の両同盟は、形成から現在に至るまで、米国の基地を媒介にして形成されており、継続的に相互に影響を及ぼしてきた。近年日米韓で公開された、1970年代及び1980年代末期における外交史料を照合・分析することで、デタント期と冷戦末期において、米国との価値共有や脅威認識の問題とは別に、防衛費分担と米軍基地問題への対応における日本と韓国の同質性と差異を実証的に導出する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、非対称的同盟における「自立性-安全保障の交換モデル」を再構築するためのアーカイバル・アプローチの必要性という観点から、冷戦期間中のデタント期、及び1990年を前後にした冷戦末期において、米軍縮小と基地調整、防衛分担金などの問題をめぐって、日米、韓米、さらに日米韓の政策がいかにかかわっていたのか、その経緯を解明するのものである。本研究の目的を達成するために、令和4年には、資料調査と収集、およびその整理作業に力を入れてきた。令和5年度は日本と韓国で集めた資料に基づいて、1990年を前後にした日本、アメリカ、韓国の三か国の政府の冷戦終焉に対する考えと、それに伴う政策を比較・分析する作業を行った。具体的には、1989年から1992年までの日本、アメリカ、韓国側の外交資料と国会議事録の資料から、冷戦終焉を前後にした日米韓の対外認識と同盟に対する認識をまとめた。「ナン・ワーナー修正案」、「21世紀に向けたアジア太平洋戦略構想」と「Senate Armed Services Committee hearing」などで、アメリカは海外駐留米軍を「4軍システム」に再編するとともに、在日・在韓米軍および防衛分担金の縮小を唱え、同盟相手国に対してより多くの防衛責任分担を要求するとの計画が立てていた。これを踏まえ、日本と韓国では、アメリカとの議論を行いながらも、安全保障においてアメリカ以外のパートナ国を模索する態度を見せていたことが分かった。ただ、日本に比べて、韓国の場合、在韓米軍の縮小や防衛分担金の増額の程度を抑えるために取り組みながらも北朝鮮に対する抑止力の維持を目指さないといけないとの認識が強かった。その中で、中国やソ連との関係改善が現実的には難しいと判断し、日本との関係強化に取り組んでいたことが分かった。 このような内容をいくつかの研究会で報告を行い、専門家からコメントを頂いた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年では、アメリカの海外駐留米軍の縮小と同盟相手国に対する防衛分担金の増額が検討される中で、非対称同盟の小国としての日本と韓国はどのような態度をとっていたかを明らかにするために、収集してきた多くの資料をデータベース化し、内容を分析する作業に取り組んだ。その中でも韓国側の資料の分析に多くの時間を割いた。また、韓国元国会議員金大議員と韓国仁荷大学の南昌熙教授とのインタビューを行い、1970年代のニクソンショックと韓国政府に対する知見をもらった。研究結果は以下のとおりである。 韓国政府では在韓米軍の縮小や防衛分担金の増額に対応しながらも北朝鮮に対する抑止力を維持するための議論が行われていた。また、北朝鮮との戦争の可能性は低くなりつつあるため、在韓米軍の撤退が望ましいという国内世論が強まっていくなかで、政府はアメリカ以外の国との協力関係を模索していた。まず、中国との関係であるが、中国が朝鮮半島の現状維持を望んでいる、また中ソ関係が改善していくとの認識の下で1990年当時は、中国とソ連との関係改善には力を入れなかった。その代わりに日本に対して積極的な態度を見せていた。とりわけ1990年の竹下登元首相の訪問の際の「日韓戦略的パートナーシップの構築」、1991年の海部総理の韓国訪の際の「日韓新時代3原則」を唱え、朝鮮半島の平和と安定のための日韓の協力を求めた。これに対して日本もポジティブな反応を見せていた。ただ、日韓両国内では、相手国に対する信頼関係の回復が優先されるべきとの認識があり、議論が大きく進むことはなかった。1992年になると、韓国では、新生国「ロシア」に対する関係改善の政策が検討され、これがいわゆる北方政策として具体化していくようになった点が分かった。以上のような内容について、12月の九州大学政治社会学会と九州大学政治研究会おいて、報告を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、日本側の資料の分析に集中していき、冷戦末期における日本側の国際情勢認識とアメリカ・韓国に対する政策の変遷を明らかにする予定である。研究成果を11月の日本国際政治学会と12月の九州大学政治研究会で報告する予定である。 また、現在執筆中である「同盟の変化要因に関する研究―冷戦終焉前後の韓国を中心に―」を早期完成させ、は九州大学『法政研究』に投稿する予定である。また、冷戦末期の日本の事例についても分析を行い、論文かするとともに、最終的には非対称同盟理論を検証する論文の執筆も視野に入れている。 さらに、日本と韓国の外交史料館で更なる資料調査を行うとともに、すでに確保しているアメリカ側のForeign Relations of the United States(FRUS), 1969-1976, Volume XIX, Part 1, Korea, (1969&-1972)やDigital National Security ArchivesのUnited States and the Two Koreas及びJapan and the United Statesに関するデータベース化する作業を行っていく予定である。
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