行動経済学の知見を取り入れた新しい支払意思額推定方法の開発
Project/Area Number |
22K13369
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 07010:Economic theory-related
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Research Institution | Osaka Gakuin University |
Principal Investigator |
長塚 昌生 大阪学院大学, 経済学部, 准教授 (20759310)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 選好誘発手法 / 明確支配戦略 / クロックオークション / リスク態度 / 実験経済学 / 行動経済学 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、これまで実験経済学で用いられてきた消費者の真の支払意思額の表明を 誘導するBDM法を、行動メカニズムデザインの知見を用いて改良する。そして、その新しい手法が真の支払い意思額の表明にどの程度成功するかを経済学実験の手法を用いて検証する。また、これまでの手法ではうまくいかなかった状況で新手法がどの程度の機能するのかを合わせて検証する。さらに、新手法による実物商品に対する支払い意思額の表明が市場実勢価格とどの程度異なるかを検証することで新手法の外部妥当性を検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、実験経済学で消費者に真の支払い意思を表明させるために用いられてきたBDM法(Becker, deGroot, and Marschak (1964))を、行動メカニズムデザインの知見を用いて改良することを目的としている。BDM法は、確率を利用して消費者の隠れた支払い意思の表明を誘発するために開発されたものである。BDM法は、正直に支払い意思額を表明することが弱支配戦略となっており、理論的には極めて優れた性能を発揮する。しかし、BDM法の表明額と支払額を分離するという考え方は、実験対象者を混乱させ、真の支払い意思を申告させることができない可能性があることが報告されている。近年、メカニズムデザインにおいて、Li(2017)が競り上げ方式のイングリッシュオークションが、BDM法と同じ理論構造を持つ封印入札方式のセカンドプライスオークションよりも実験パフォーマンスが高い理由を明示的耐戦略性(Obviously Strategyproofness)によって説明している。本研究では、明示的耐戦略性(Obviously Strategyproofness)を考慮したLi(2017)のメカニズムデザインをBDM法に適用することで、真の支払い意思額が申告されやすくなるかどうかを以下の実験により検証する。(1)通常のBDM、(2)ascending BDM、(3)明示的耐戦略性の効果を検証するためのascending BDM。 実験の結果として、通常のBDM(1)が理論値に近いパフォーマンスを示し、ascending BDM(2)との間に統計的に有意な差は見られなかった。しかし、(2)と(3)のパフォーマンスには有意差が観察され、被験者が明示的耐戦略性の理論のような意思決定プロセスで情報を処理していないことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験の当初想定していない理論的予測とは異なる結果が観察された。このため、今年度計画していた実装に向けての応用的研究よりも、理論的背景の再考や、国際学会での報告などで広く意見を収集するなど、最終年度の研究計画の変更が予想されることからやや遅れるとした。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予測していた理論通りの行動が観察されなかったため、対立候補となる様々な説明の中から有力な説明を1点絞り、その検証実験を計画することとする。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)