実現確率的ボラティリティ変動モデルにおける非対称性モデリング
Project/Area Number |
22K13376
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 07030:Economic statistics-related
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山内 雄太 名古屋大学, 経済学研究科, 講師 (00914160)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 確率的ボラティリティ変動モデル / 実現ボラティリティ / ベイズ統計学 / マルコフ連鎖モンテカルロ法 / リスク管理 / 高頻度データ / 計量ファイナンス / 確率的ボラティリティ |
Outline of Research at the Start |
金融市場における日次資産収益率の動きを統計モデルで分析し,資産のリスク評価に用いることを考える。モデルの焦点は,実際の市場で観察される収益率分布の非対称性,例えば暴騰よりも暴落の方が多くなる傾向,をどのようにモデリングすることが実データ分析において効率的であるかを明らかにすること,および非対称性を取り入れた多変量モデルへの拡張の提案である。
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Outline of Annual Research Achievements |
(A) 誤差項に非対称性を導入した確率的ボラティリティ変動モデルの提案を行い,モデル間のパフォーマンスを比較した。非対称性を導入していないモデルと導入したモデルの間で比較を行った他,非対称性を持つ分布として何を用いるかによって,モデルのパフォーマンスが変化することを示した。また,高頻度データの情報を取り入れるモデルを提案し,高頻度データを用いることによってどのようにモデルのパフォーマンスが改善するかを示した。モデル間でパフォーマンスを比較するために,分布の裾のリスク評価の指標であるVaRおよびESに対するモデルの予測性能を実データ分析から検証した。データは日経平均株価やダウ平均株価といった株価指数を用いた。本研究はVaRおよびESの予測の評価に,VaRとESを同時に評価する損失関数を用いた。モデルごとに1日先のVaRおよびESの予測を繰り返し(500日程度)行い,得られた予測系列に対して損失を計算し,モデル間の損失の差が統計的に有意性を持っているかを予測性能に対する検定を用いて明らかにした。 (B) ファクターを用いた確率的ボラティリティ変動モデルにおいて高頻度データの情報を用いることでパラメータおよび潜在変数の推定を安定化させる手法を提案した。本研究の提案手法のパフォーマンスを見るために、複数の株式収益率の時系列データを用いてモデルの推定を行い,モデルの予測を用いたポートフォリオのパフォーマンスを既存手法と比較した。結果として,提案手法を用いることにより、既存手法を用いるよりもポートフォリオのパフォーマンスが向上することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
設定した研究課題に対して,「研究実績の概要」で示した研究テーマ(A),(B)それぞれについて,以下のような進捗が得られた。(A)については,統計モデルと推定手法の提案と,モデルを用いた実データ分析が終わっており,得られた成果に関する研究論文を執筆中である。研究論文については査読付き国際学術誌に投稿予定である。また,論文の執筆が終わり次第,共通するテーマで,多変量モデルへの拡張や,事前分布の改良を行った研究を行う予定であり,今後の研究の指針についても定まっている。(B)については,研究成果が査読付き国際学術誌であるEconometric Reviewsに掲載された。それに加え,2022年に開催された,Eastern Asia Chapter of the International Society for Bayesian Analysisにおいて研究成果を発表し,関連する研究者からフィードバックを受けることができた。その結果,研究課題に対するさまざまな拡張についてアイデアが得られ,今後の研究に関しても方向性が定まっている。これらの研究成果,および成果の発表について,年度開始時に想定していたことが達成できており,研究はおおむね順調に進んでいると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度に引き続き,誤差項に非対称性を導入した確率的ボラティリティ変動モデルについて,研究を進めていく。特に,多変量実現確率的ボラティリティ変動(RSV)モデルに非対称性を導入する拡張についての研究を実行する。まず,研究代表者が過去に提案した多変量RSVモデルをベースとしてモデルの提案を行う。このモデルでは,収益率の観測方程式が多変量正規分布を用いた形で書けているため,この観測方程式の分布を非対称性を持つ分布にすることで,非対称性の導入を行う。さらに,多変量の資産収益率系列を扱う場合は,系列によっては非対称性が現れないような系列が存在することが予想されるため,非対称性がないような系列に対しては非対称性のパラメータを0に縮小するような事前分布を置いたモデルを提案する。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)