Project/Area Number |
22K13509
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 07100:Accounting-related
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
姜 周亨 名古屋大学, 経済学研究科, 講師 (50814191)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2026: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2025: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 研究開発税額控除制度 / 租税特別措置法 / 増加研究開発費 / 総額研究開発費 / 会計基準間の比較分析 / 法人税制改革 / 法人実効税率 / 国際統合化 / 企業価値 / 実効税率 / 確定決算主義 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は,会計基準の国際統合化による日本の会計制度への影響,日本企業の租税負担への影響,ならびに企業価値への影響を明らかにすることである。 近年,米国基準と国際会計基準との間に調整がなされた後,それらに合わせて日本基準を新設・改正・廃止する事例が増えつつある。市場志向的な英米型会計基準が,そのまま導入されたり日本基準へ強い影響を及ぼしたりすることで,それまで日本企業の経営環境に最適だった会計手続きが適用できなくなる。結果として企業価値が毀損されることが懸念されている。 本研究を通じて会計基準の国際統合化による日本企業の企業価値への影響を明らかにできれば幸いである。
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Outline of Annual Research Achievements |
2003年の構造改革に伴い、知的財産の保護と活用および国際競争力の強化が目的とした「科学技術創造立国」の政策が提唱された。この政策は2014年の日本再興戦略へ引き継がれ、イノベーション促進がより強力に推進されてきた。こうした国家戦略に応じて、研究開発税額控除制度は研究開発投資額の増分に基づく算定から総額に基づく算定へと変更され、その後さらに増分額に基づく算定へと戻された後、微調整が加えられている。 税額控除制度については従来より賛否議論がある。一方で、知的財産の「スピルオーバー」現象により経済便益の損失を緩和するため、研究開発に取り組む企業へのインセンティブとして税額控除が設けられている。他方で、税制の効率性や公平性が損なわれ、税収の減少を理由にその廃止や縮減を求める意見も存在する。それにもかかわらず、世界各国ではGDPの約10%に相当する政府支援が実施されている。 本研究では、研究開発税額控除が企業の研究開発投資をどのように促進しているのかを検証するため、東京証券取引所プレミアム上場企業の2003年度から2022年度のデータを用いてパネル分析を行った。その結果、2014年の制度変更後、研究開発税額控除対象の研究開発費が1.0%ポイント増加した場合、研究開発投資額が1.6%ポイント増加することが確認された。なお、業種の平均研究開発投資額(20.4%ポイント)および企業規模(24.8%ポイント)の影響がより大きいことも明らかになった。業種による偏りや、大企業がより多くの便益を受ける傾向があることも指摘できる。これらの結果から、2014年改訂以降、2年ごとに実施されている増減試験研究費割合の微増と税額控除割合の下限の引き下げが、租税の公平性を保ちつつ研究開発投資を促進する取り組みとして効果的であると評価することができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度は採択研究課題の2年目にあたり、本来の計画では研究結果をすでに公表している段階である。しかし、データ収集および原稿の校正などに予想以上の時間がかかったため、2024年8月に学会への報告を行い、その後12月までに査読付き専門誌への投稿を目指している。
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Strategy for Future Research Activity |
報告済み研究結果を踏まえ、以下の段階で研究を推進する予定である。 まず、研究開発活動が活発な業種に焦点を当て、企業価値および特許などの無形資産との関連性をさらに検討する。 次に、国際会計基準を適用している企業の研究開発費の計上実務について分析し、会計基準の相違と研究開発行動の関連をより深く分析する。国際会計基準では一定の条件を満たす研究開発費は資産として計上できる。しかし、分析対象の企業群では資産として計上している例が見られなかった。その現象の原因を制度派理論に基づき分析し、費用計上と資産計上の会計実務に関する海外先行研究のレビューを実施する。 さらに、韓国政府の研究開発支援制度を調査分析する。OECDの「Measuring Tax Support for R&D and Innovation」によると、韓国政府の支出は税額控除制度より補助金の規模がより大きいとされている。これは日本政府の支出とは逆の結果である。韓国の制度の調査およびその効果に焦点を当て、日本の制度との相違点を明らかにし、日本に対する示唆点を導き出す。 最後に、韓国の上場企業の研究開発行動および研究開発費に関する会計実務を検証し、分析する。韓国は2010年より国際会計基準を強制適用している。研究開発費の計上実務を分析するとともに、それが企業価値に与える影響を分析し、日本への示唆点を提供することを目的としている。
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