港湾労働組合の地方組織における産業別労使関係の形成過程に関する研究
Project/Area Number |
22K13537
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 08010:Sociology-related
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
鈴木 力 岐阜大学, 地域科学部, 助教 (10801558)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | 労使関係 / 労働組合 / 港湾産業 / 海運産業 / 雇用保障 / 本州四国連絡橋 / 産業別労使関係 / 地方組織 / 合理化 |
Outline of Research at the Start |
近年の労使関係研究では、産業別の労使関係について関心を強めており、本研究で対象とする港湾産業もその1つである。本研究の目的は、港湾労使において全国レベルの交渉機構や労働協約の基盤となってきた地方における産業別の労使関係の形成条件を解明することである。本研究の対象となる本州四国連絡橋に関する労働争議では、架橋建設の主体である国家を団体交渉と労働協約の使用者とするために、労働組合の地方組織が展開した組織体制や要求戦略、そして国家が使用者責任を認める契機が解明される。
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Outline of Annual Research Achievements |
2022年度の研究実績としては、香川県・岡山県の公文書館の蔵書史料の整理と分析を進めるとともに、愛媛県、徳島県、兵庫県の図書館・公文書館の史料調査を行い本州四国連絡橋の建設と建設事業に伴い発生した雇用保障問題に関連する史料を収集した。 その中で、本州四国連絡橋争議で港湾産業に従事する労働者の雇用を保障する際に、保障の枠組みを作成する上で参考にされたのが船員労働者たちの保障内容であることが分かった。そのため、瀬戸内海に架橋建設を行うことによって雇用が縮小する船員労働者の雇用保障のために立法された1981年の「本州四国連絡橋の建設に伴う一般旅客定期航路事業等に関する特別措置法」の形成の経緯と、立法措置を政府に対して要求した全日本海員組合と旅客船事業者団体の要求内容などについて史料分析を行った。 この特別措置法の一方経緯をみると、事業者は架橋建設による海運の縮小を見越して事業継続よりも廃業と転業の保障を手厚く求めており、むしろ船員労働者の側から船員としての雇用の確保を望む要望が強く出されていたことが分かった。結果として立法された保障内容をみると、海運労使の要望の折衷したものとなっており、事業の転廃業の損失補償に加えて、労働者については船員としての雇用先の確保を優先しながら、確保が困難な場合は他業種や架橋事業の関連事業に優先して就労斡旋をするものとなっていた。こうした研究結果については日本港湾経済学会年報『港湾経済研究』No.61(2023年3月31日)に公表(査読有)している。 港湾労働者の組合と政府で締結した労働協約においても大枠としては、この船員の特別措置法を踏まえる形の内容となっている。今後の追加的な調査によって、立法制定や協約締結以前の労働運動のなかで港湾と船員の相互影響について調査する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度においは港湾産業の四国を本部とする労働組合の史料を収集し整理・分析することを年度計画としていた。史料調査について香川県、岡山県の両文書館において該当する史料が複数見つかっている。また、行政側が労働組合や事業者と交渉した際の史料や、雇用保障内容の策定にあたって作成した史料なども合わせて発見されており、労使の当事者のみならず行政側からの本州四国連絡橋事業に伴う雇用保障問題を捉える史料といえる。また、合わせて発見された船員労働者と旅客船事業の史料も収集が進み、整理・分析が進んだため一部は論文公表した。 ただし、2022年度中に予定していた労働組合の地方本部への訪問については、申請者の所属機関の転勤などがあり実施できていないため、2023年度において実施の予定である。史料については収集が進んでいるため計画に大きな遅れは無いが、インタビュー調査によって労働組合運動の実態について追加的に調査を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年については、本州四国連絡橋の建設に伴い港湾労働組合と雇用保障に関する労働協約を締結した国家とりわけ交渉の窓口となった建設省を中心とした史料の収集と分析を行う予定である。政府や建設省の史料については、国会図書館、衆参両院の委員会議事録を検討するとともに、特に架橋に伴う雇用保障問題で役割を発揮した社会党議員の発言録を中心に収集・整理を行う。 関連史料については、労働協約の締結される1983年、またこの協約に影響を与えた旅客船事業者と労働者の保障措置である特別措置法が制定された1981年を中心とする時期について収集を行う。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)