Project/Area Number |
22K13544
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 08010:Sociology-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡澤 康浩 京都大学, 人文科学研究所, 助教 (80914415)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 注意 / テレビ / 労働科学 / 人間工学 / 知覚の歴史 / オーディエンス / 機械 / 技術論 / 視聴者 / 人間科学 / 知識 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、1980年代日本におけるメディア論者のメディア実践がメディア論の形成に果たした役割を明らかにする。テレビやそれを消費する視聴者を学問的対象として研究するメディア論者たちにとって、テレビ番組での映像実践はメディア論の学知を試すと同時に、新たな理論を生み出す場所でもあった。本研究では、テレビ映像が果たした役割に注目し、テクストだけに還元されないメディア論の歴史を描く。
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Outline of Annual Research Achievements |
一年目の成果を踏まえ、二年目は科学論とメディア論との融合をさらに推し進めた。勤務先である京都大学人文科学研究所共同研究班「歴史的メディア認識論:テレビ史におけるメディア論とテクノサイエンスの交錯」の副班長を務め、定期的な研究会を開催をすすめるなど、テレビ論を中心に、メディア論と科学論の交流の場とした。また、6月にはダラム大学のショーン・ハンスン氏と共同で日英バイリンガル・ワークショップ「Techniques of the Shichosha: On the Technoscientific Formation of Cultural Subjects/〈視聴者〉の系譜:ある文化的主体の科学技術的形成」を開催した。このワークショップの運営を行うと同時に、メディア論における注意論、労働科学史における注意論、およびメディア論者によるパフォーマティブな注意論などを総合的に検討する「注視せざるものたちの科学:視聴者のメディア論と人間工学の交錯」という個人発表を行った。加えて、イアン・ハッキングの「科学的推論のスタイル」プロジェクトの検討を通して、より理論的なレベルでの物質主義的メディア論と科学論との統合の可能性について考察した。この成果は「範例と二人の哲学者──推論する動物たちの生態史のために」として『思想』に発表した。また、科学史とメディア史の連携を史料レベルから検討するために、「歴史的メディア認識論」共同研究班の一環として、12月には「テレビジョン・アーカイブスを再想像する:科学技術とメディア論から考える未来」の開催・運営も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年はテレビジョン学会(現:映像情報メディア学会)の学会誌の分析を通じて、非放送メディアとして理解されたテレビジョン技術についての科学史技術史的検討を深めることができた。同時に、「歴史的メディア認識論」グループの活動としてテレビ論関連文献の読解をすすめることができた。さらに、6月に開催した日英バイリンガル・ワークショップ「Techniques of the Shichosha: On the Technoscientific Formation of Cultural Subjects/〈視聴者〉の系譜:ある文化的主体の科学技術的形成」および、12月開催の「テレビジョン・アーカイブスを再想像する:科学技術とメディア論から考える未来」を通して、メディア論・科学論の双方との議論を進めることができた。特に、「視聴者」ワークショップでの議論を通して、メディア論―科学論の交点としての技術論の重要性、特に「機械」に関する重要性を学ぶことができた。本年度で重点的に行った科学技術誌的検討は、最終年度でのメディア論者の分析の基礎になると期待できる。また、今年度行った科学技術史的研究の結果、NHK放送科学基礎研究所内に設置されていた視聴科学研究室の重要性がわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
勤務先である京都大学人文科学研究所で、組織された共同研究班「モノ・知識・環境」を中心に、メディア/技術論の研究を進める。テレビジョン技術史とメディア史の交点としては、NHK放送科学基礎研究所内に設置されていた視聴科学研究室の重要性が今年度の研究からわかった。これについては、視聴科学研究室関係者へのオーラルヒストリーを行う予定である。また、今年度の研究の結果、科学技術論において特に「注意」が問題化されるのが、人間と機械とのインタラクション、特にそこにおける「事故」の可能性においてであることがわかった。このことを踏まえ、以下の三つの課題に取り組む。まず、(1)機械論についての理論的考察として、科学哲学者・下村寅太郎の機械論についての検討を進める。次に(2)機械論と注意論の交点としての人間工学、特に「事故」関係についてさらなる史料収集・分析を続ける。そして、こうした(3)機械論・技術論・事故論をメディア的なパフォーマンスとして実行していたメディア理論家浅田彰の「事故の博物館」についての分析を進める。
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