Project/Area Number |
22K13547
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 08010:Sociology-related
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
菰田 レエ也 鳥取大学, 地域学部, 講師 (00907769)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2026: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | サードセクター / 複雑性 / 生活困難層(社会的排除) / 地域研究 / 労働者協同組合 / ワーカーズ・コレクティブ / 労働統合型社会的企業 / 量的調査 / ソーシャルファーム / 社会的企業政策 / 市民社会 / エージェンシー分析 / コミュニティ創造 / 不安定流動社会 / 生活保障 / 新しい働き方や生き方 / 多元的包摂性 |
Outline of Research at the Start |
新自由主義的なグローバル化以降、日本型雇用慣行は崩壊の危機に直面してきた。市場・政府・市民社会はそれぞれの思惑のなか、各エージェントがセクターを越えて交錯し、中流層の不安定流動化に対応した新しいコミュニティを模索しつつある。本研究では、日本型雇用慣行のオルタナティブとなりうる様々な実践潮流を対象に、新しい生活基盤を内包するコミュニティ組織やそれらを規定する構造を研究し、一連の実践が社会全体にもたらす意味や帰結を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では関連する3つの領域(①ベンチャー業界、②サードセクター業界、③小商い業界)に着目し、日本型雇用慣行に代わる新しい生活基盤を模索するオルタナティブ諸実践、その展開過程を支える諸要因、それらを規定する構造特性を主軸に分析を進め、最終的にはそれらの事例に基づくコミュニティ創造論の展開を目指す。2年目となる令和5年度の研究成果は、1)論文・学会等の成果と2)次年度の成果見込みが高い作業成果に大別できる。結論的には、初年度に引き続き②の分野での良好な実績が継続されながら、①や③に紐づけた論考や調査成果も徐々に生まれつつある。 1)の成果は2本の論文発表と3本の学会報告となる。②に連なる労働者協同組合の論文に続き、生活困難層(社会的排除)とサードセクター研究の動向を地域と複雑性をキーワードに考察した理論論文を公表した。前者は協同組合を専門とする関係者が広く読む全国誌に公表、生活困難層へ対応するワーカーズ・コレクティブの新しい展開を量的・質的に論じた数少ない重要な論考の一つである。後者は、全国各地域の社会学者が集う地域社会学会において近年のサードセクター研究の成果を理論的に論じた意義を持つ。 2)は次年度に1本の書籍刊行と2本の論文公表に繋がる作業をした。まず東京都ソーシャルファーム条例を事例にした実証論文は国際書籍としての刊行が最終調整段階にあり、計画通りの令和6年度を予定する。また令和5年度の基礎経済科学研究所での学会報告に基づき、労働者協同組合の理論論文を公表予定する。最後に、最終的狙いであるコミュニティ創造論に関する考察を、①や②の関係者と共著で執筆中である。 なお、昨年度の反省を踏まえ、①や③の進捗を底上げするための文献調査や聞き取り成果もあり、次年度以降の実績に繋げていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では関連領域(①ベンチャー業界、②サードセクター業界、③小商い業界)におけるオルタナティブ実践の展開とそれらを規定する構造特性を主軸にした分析を進め、最終的には一連の事例に基づくコミュニティ創造論の展開を目指す。研究実施計画案と令和5年度までの研究進捗を比べた場合、本研究の進捗状況は「おおむね順調に進展している」と評価できる。 初年度から引き続き②の進捗は順調であり、想定外の調査進捗や報告執筆の機会にも恵まれた結果、具体的対象である労働者協同組合の動向・東京都ソーシャルファーム条例認証団体の調査と成果発表の両輪が円滑に回っている。計画通り、著者の論文も含むS.Avenell & A.Ogawa教授を編者にした英文書籍が2024年5月に刊行予定である。この刊行を見届けた後、関係者を中心に相談し、日本国内で成果報告に該当する機会の検討をする。 他方で、初年度の課題でもあった①と③の調査研究の底上げについては、積極的な文献調査に加え、個別のフリーランサーや小商い従事者への聞き取りから詳細な情報を少しずつ把握しつつある。①は当初想定した全国のフリーランス協会ばかりでなく、関西地方にある京都信用金庫人材バンクにいるフリーランサー・プロボノ・行政機関の副業推進など多様な脈略が明らかになった。今後は具体的な地域やネットワークの捕捉も視野にいれた研究進捗が課題である。また、③については、『鳥取文芸』等のローカル雑誌を収集する中で、露天商やWebライターなど様々な生業を生活の糧に生きる個別分散的な人々の存在が徐々に分かってきた。こちらも綿密な対象選定を経て、個々人のライフコース等に着目した研究を検討中である。 なお、最終課題であるコミュニティ創造論に関する論考についても令和6年度に公表予定の論文が一本ある。こちらは関係者と知見交流をしながら議論を発展させていく。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では関連領域(①ベンチャー業界 ②サードセクター業界 ③小商い業界)におけるオルタナティブ実践の展開とそれらを規定する構造特性を主軸にした分析を進め、最終的には一連の事例に基づくコミュニティ創造論の展開を目指す。その研究はおおむね順調に進展しているが、折り返し地点となる3年目(令和6年度)は各領域の研究上の進捗課題に取組みながら、それらをコミュニティ創造論としてまとめていく道標になる考察もした論文執筆に取り組む予定である。 まず、進捗が順調な②については、研究実施計画案通りの課題遂行がポイントになる。労働者協同組合に関する理論論文1本に加えて、東京都ソーシャルファーム条例の詳細な分析に基づく研究論文が所収されたS.Avenell & A.Ogawa教授を編者にした英文書籍の刊行を目指す。2024年5月が目処ではあるが、実際の刊行時期を見極めながら関係者を中心に相談し、日本国内で成果報告に該当する機会を適切な時期に検討する。 次に、①と③については、文献調査と聞き取り調査を継続しながら、研究成果に至るための道筋をより具体的に構築することを課題とする。①は具体的な地域やネットワークの捕捉も視野にいれた研究進捗が課題であり、昨年度から培ってきた関係者をゲートキーパーに調査研究を進めていく。③は様々な生業を生活の糧とする個別分散的に存在する対象選定、及び個々人のライフコース等に着目した研究可能性を検討していく。 最後に、①~③の各動向をコミュニティ創造論としてまとめていく考察も課題であり、そのために関係者と考察の一部を整理した論文を大学紀要等に投稿しながら、さらに考察を深めていくための打ち合わせを行い、必要であれば令和7年度以降も関連する考察を論文成果として出せるような準備を進めていく。
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