Project/Area Number |
22K13550
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 08010:Sociology-related
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Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
塙 幸枝 成城大学, 文芸学部, 准教授 (10823213)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | 笑い / 漫才 / 社会規範 / テレビ / コミュニケーション |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、テレビにおける漫才の通時的分析をつうじて、笑いをめぐる社会規範の変容を明らかにすることにある。近年、ポリティカル・コレクトネスやコンプライアンスの観点から、テレビ表象のあり方をめぐる是非が議論にのぼることも多い。本研究では、テレビ表象の領域における笑い(なかでも特有のコミュニケーション形式をもつ漫才)と社会規範の関連性に着目し、放送開始以来の対象映像を通時的に分析する作業をつうじて、笑いとして許容される/タブー視されるものがいかに変遷してきたのかを探る。本研究は、社会的営為としての笑いの解明と、メディア表象の社会的な検証の双方において、現在的な視座からの貢献が期待できる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、「テレビにおける漫才の通時的分析をつうじて、笑いをめぐる社会規範の変容を明らかにする」という目的のもと、三つの課題――課題①:漫才の社会的な機能とは何かを検討する、課題②:テレビにおいて許容される笑い/テレビにおいてタブー視される笑いの領域はどのように変化してきたのか、漫才を対象に分析する、課題③:笑いのコンテクストは社会規範とのつながりのなかでどう捉えられうるか、漫才を対象に考察する――を立てている。このうち2023年度は課題②について文献調査と資料調査を中心におこなった。 とくに、テレビにおける漫才を分析対象とし、テレビ番組が保持するフレームとの関係において、漫才がフィクションと現実社会の双方にまたがるような多層構造を帯びながら、人々に社会規範を伝達する機能を包摂していることを明らかにした。2022度には採用当初の予定を前倒しして、すでに課題②にかかる研究内容(「NHK番組アーカイブス学術利用トライアル2022年度後期」の採択を受けて、漫才を扱ったテレビ番組の調査分析を実施)に着手していたが、本年度はその調査をもとに「『バラエティー生活笑百科』における漫才の機能―漫才が伝達する法と規範―」と題した論文を執筆した。当該論文については、すでに『日本コミュニケーション研究』への投稿を完了させている。 以上の状況をふまえ、2024年度の研究では課題③の課題に取り組むことを予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度の研究では、本研究の三つの課題――課題①:漫才の社会的な機能とは何かを検討する、課題②:テレビにおいて許容される笑い/テレビにおいてタブー視される笑いの領域はどのように変化してきたのか、漫才を対象に分析する、課題③:笑いのコンテクストは社会規範とのつながりのなかでどう捉えられうるか、漫才を対象に考察する――のうち、当初の計画に沿って課題②を概ね計画どおり遂行することができた。しかし、漫才を扱った番組の映像資料についてはさらなる調査を実施する必要があると考えている。また、初年度の2021年度から継続して、漫才を含む笑い全般の先行研究については、より包括的な文献調査と整理が必要となる。 テレビと漫才という本年度の大きな研究課題については、昨年度の実施内容をいかしながら遂行することができたため、2023年度の進捗状況は「概ね順調に進展している」といえる。ただし、本年度に予定していた大阪府立上方演芸資料館ワッハ上方での資料調査が実施できなかったため、それについては次年度に実施したい。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度の研究では、本研究の三つの課題――課題①:漫才の社会的な機能とは何かを検討する、課題②:テレビにおいて許容される笑い/テレビにおいてタブー視される笑いの領域はどのように変化してきたのか、漫才を対象に分析する、課題③:笑いのコンテクストは社会規範とのつながりのなかでどう捉えられうるか、漫才を対象に考察する――のうち、課題③についての考察を進める。ここでは、笑いのコンテクストの問題に着目するために、とりわけ近年の漫才のうち社会的に問題視された内容を含む事例などを扱いながら、漫才という演芸が社会規範といかなる関係を結びうるのかを、よりメタ的な視点から考察する予定である。そのために、映像資料の収集と分析が必要になる。 また、昨年度までの研究課程において、本研究テーマが近年取り沙汰されているテレビとコンプライアンスの問題ともつうじることがみえてきた。よって、本年度は漫才と社会規範の関係を、人々のコンプライアンス意識との接続においても考察する必要があることに加え、そのコンプライアンス意識が生成されるプロセスに介在しうるSNS等の位置づけについても検討したい。 このように、2024年度は主に現代的な題材を扱うことになるが、その歴史的経緯についてもさらなる補強をおこなうため、過去の資料を保存している大阪府立上方演芸資料館ワッハ上方での調査も実施する。
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