Project/Area Number |
22K13650
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 09020:Sociology of education-related
|
Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
粕谷 圭佑 奈良教育大学, 学校教育講座, 准教授 (80908492)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
|
Keywords | 能力の社会的構成 / エスノメソドロジー / 会話分析 / 相互行為分析 / 社会化 |
Outline of Research at the Start |
能力主義の理念に基づいて制度設計が行われている社会では子どもの「能力」をいかに測定し評価するかが重要な問題となる。本研究は,「能力の社会的構成」論を踏まえ,具体的な教示場面のなかで子どもの「能力」がいかに社会的に構成されていくのか,また相互行為のなかで子どもの「能力」がいかに評価対象となっていくのかを明らかにすることを目指す。具体的には,〈研究A〉教育場面において構成される能力の理論的検討,〈研究B〉教室内における教育場面の相互行為分析,〈研究C〉教室外における教育場面の相互行為分析の3つの研究課題を設定し,教育場面における相互行為を通した能力の社会的構成に記述を与えていく。
|
Outline of Annual Research Achievements |
研究実施計画に基づき、〈研究A〉教育場面において構成される能力の理論的検討〈研究B〉教室内における教育場面の相互行為分析〈研究C〉教室外における教育場面の相互行為分析の3つの研究課題に取り組んだ。 〈研究A〉に関しては、社会学理論研究として、エスノメソドロジーの学説史研究に取り組んでいるアン・ロールズの研究レビューを通してデュルケムからゴフマン、ガーフィンケルにいたるまでの「状況の社会学」の系譜を整理し、状況における能力構成を捉える理論構成の準備作業を進めた。〈研究B〉に関しては、これまで収集したデータの論文化を行い、学術誌に2報掲載が決定した(うち1報は2024年度公開)。これはいずれも幼稚園年少級という学校教育の原初的場面における保育者と園児の相互行為を分析したものであり、学級集団に対する教示が行われる際に教示の履歴が積み上げられていく過程に着目する分析方針を採用することで、教室内の教育場面に特有の教示構成にアプローチしている。〈研究C〉に関しては、前年度調査からの展開として、国内で有名なデューイ型オルタナティブ教育を実施する小中学校への調査を行った。また、学校教育の相互行為に対する比較の視点として、昨年度実施したオンラインを用いた子育て支援の活動場面の分析および聞き取り調査内容をもとにした論文の学術誌掲載が決定した(公開は2024年度中)。この、子育て支援活動の論文では、それぞれの親が子どもに対して観察し報告する活動が特徴的に行われているが、分析からはこの子どもの観察・報告活動が、子どもを子育てにおける管理の対象として見るだけではなく、発達学習する存在として見ることを促す構成をとっていることがわかった。今後、こうした比較分析から、学校における「能力」に関する議論への展開を行っていく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、「研究実績の概要」に記したように実質的な理論研究のとりまとめや、データの検討および分析作業を踏まえた成果発表を実施できたため、「おおむね順調に進展している」といえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
2023年度までは分析の積み重ねを行い、2024年度より分析知見を教育学および教育社会学における「能力」の議論と関連させながらいかに展開できるのか、研究ノートおよび論文執筆を通して具体化していく予定である。これまでの研究により、学校組織内の相互行為の分析の比較対象軸として、学校外および「学校教育」ではない教育場面の検討の必要性が明確になったため、2024年度より、公立小学校内で行われているオルタナティブ教育的実践の調査を実施している。これまで蓄積してきた幼稚園・小学校のデータに加え、今回新たに収集したデータの分析を行うことで、研究成果のアウトプットに注力する。
|