Project/Area Number |
22K13654
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 09020:Sociology of education-related
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Research Institution | Surugadai University |
Principal Investigator |
小丸 超 駿河台大学, スポーツ科学部, 准教授 (50831228)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2024: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 体育会系 / 部活動 / 感情的連帯 / 教育社会学 / スポーツ社会学 |
Outline of Research at the Start |
近年、スポーツ界では指導と称しての暴力やパワハラといった不祥事が相次いで発覚し、「体育会系」的体質の根強さとその弊害が改めて問われている。その中で「体育会系」の構造や社会化の過程について論じる研究が出てきているが、「体育会系」の根強さは「感情」の視点を導入しなければ十分に理解できないのではないかと思われる。 そこで、本研究では部活動経験者を対象としたインタビュー調査を実施し、「体育会系」を支える感情的基盤の成立過程を理論化する作業に取り組む。また、本研究では「縦の関係」(上下関係)に加え「横の関係」(同級生同士の相互作用)に着目するが、それは「体育会系」の再生産を止める契機を探るためである。
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Outline of Annual Research Achievements |
スポーツ界ではいわゆる「体育会系」的体質の弊害が改めて問われており、そうした体質の再生産を止める契機を探ることが喫緊の課題となっている。そこで、本研究では「体育会系」を支える感情的基盤の成立過程を理論化する作業に取り組んでいる。 2023年度は、主に「体育会系」を捉えるための理論枠組を改めて整備するとともに、高校女子バレーボール部(東北地方の強豪校)の3名にインタビュー調査を実施した。 「体育会系」とは日本的スポーツ集団の構造(日本社会の原組織=家元制の投射物)のことであり、具体的には参加者の「縁」によって連結されたヒエラルヒー構造を意味する。また、当該構造の理念型としては大きく「家族型」(東洋の魔女)と「軍隊型」(日大アメフト部)に分けられ、現実のスポーツ集団は両者の混合形態と見られる。 インタビュー調査では、主に以下の3つの点が明らかとなった。1つは、バレーボール界の強固な人脈の存在である。この人脈は年齢や恩義を軸としており、例えば部内で問題が発生した場合、その問題は個別の人間関係を通して処理されることになる。2つは、部内における抵抗の存在である。指導者の理不尽な私的判断に対し、一部の選手たちは自由を求める感情あるいは勝利への意志に基づいて一致結束した抵抗を試みていた。3つは、抵抗の挫折である。すなわち、仮に選手たちが抵抗しても、指導陣はその抵抗に抵抗し(人脈の駆使、論点ずらし)、選手たちは無力感や諦めの感情をもって理不尽を受容していくのである。 今回調査したチームは相対的に「勝利という成果」を求める傾向が強かったが、御恩と奉公を軸とする人的ネットワークは強固に残存しており、選手の自発性を抑圧している様が確認できた。次年度は、九州地方の野球強豪校(「軍隊型」に近い)の経験者にインタビュー調査を実施する予定であり、今年度とは異なる知見が得られるものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画では、2023年度中にインタビュー調査を終える予定であったが、また半分ほどのインタビュー調査を残しているため、「やや遅れている」と判断される。これは、被調査者の居住地がいずれも遠方であり、校務等との都合で日程調整が困難であったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は校務の負担が減るため、スピード感をもって研究を推進したい。7~8月にかけてすべてのインタビュー調査を終える予定であり、引き続きデータの分析と論文の執筆に専念したい。なお、9月及び3月には学会発表を行う予定である。
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