Project/Area Number |
22K13697
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 09040:Education on school subjects and primary/secondary education-related
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
村井 隆人 大阪教育大学, 教育学部, 講師 (80826157)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2024: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 中等国語科 / 批判的思考 / 批判的統合 / 説明的文章 / 学力評価 / 複数テクスト |
Outline of Research at the Start |
日常生活のなかで、○○について私(たち)はどうすればよいのだろうか、という問題について、説明文や評論をもとに自分の考えを築いていくことを批判的統合と呼ぶ。 批判的統合は、議論を分析する技能が習得できれば問題なく実行できるものではなく、自分の思考や議論との関わり方を評価するといった情意が重要な役割を担っている。 このような一筋縄ではいかない批判的統合を、中学生や高校生といった学習者がどのように習熟していくのか、ということを明らかにするために、本研究では、批判的統合の発達を捉える枠組みと評価問題の開発を行っていく。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、基礎的な研究として米国の批判的統合を求めるテストの再分析と、調査研究として、中学校を対象とした批判的統合を求める実験授業を実施した。以下では特に後者について報告をする。 実験授業では、中学校3年生の3学級を対象に、批判的統合を求める調査課題(1時間)と、それを基にした授業(3時間)を行った。調査課題では、自身の立場のみで立論し、異なる立場に言及しないレベル1~2、双方の立場に言及するレベル3~4の評価基準で採点した結果、8割以上の回答はレベル1~2となった。ここから、中学校段階の学習者も、初読の段階では自身の立場に偏った論述をすることや、異なる立場に触れる場合も十分な論述をすることなく却下する記述が多いことが分かった。また、これらの批判的統合の点数は、同時に行った批判的思考態度の点数と弱い正の相関、テクスト間関係を問う設問の点数と中程度の正の相関がみられた。 批判的統合の回答から、自身の立場を支持する理由がテクスト内のどのような情報に基づくのかを分析した結果、レベル1~2の学習者の中には、テクスト内の内容をまとめた抽象的な記述や、ことわざなどの修辞的な表現など相対的に妥当性が低い根拠を重視する傾向がみられた。 また、読んだ順番や立場の関係について、賛成派→否定派あるいはその逆で読んだ場合、学習者は2つ目に読んだテクストの立場に立つ傾向が認められた。また、学習者が選択した立場によって、賛成派や否定派のテクストの評価の傾向は異なっていた。 3時間の授業後は、約6割の学習者が成果物を提出した。この成果物は、レベル2が約33%、レベル3~4が66%となった。成果物の提出が少ないことに注意する必要があるが、概ねテクスト間関係の理解が成立し、双方の立場から自身の意見を論述することができるようになったことが確かめられた。 以上の成果について、現在、論文を投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、当初予定していた通り、中学校を対象とした調査実験をし、その結果を分析することができた。ただし、十分な数の調査を行うことや、複数の学年で調査をし、その発達段階について検討することができていない。 また、今回の調査では、ゴールであるパフォーマンスに焦点をあてた調査をしたため、学習者が各テクストにどのように反応しながら課題に取り組んだのか、という質的な面について十分に捉えることができなかった。この点は、調査方法を差別化させながら検討していく必要があると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
進捗状況から、2024年度では、複数の学年を比較するような調査を行う。また、初読のテクストの読みを丁寧に捉えられるように、調査の方法を前年度のものと変えて行うこととする。 そのため、調査協力者である国語科教員などの助言を受けながら、授業時間内で実行可能な調査冊子の開発を行っていく。
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