Project/Area Number |
22K13700
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 09040:Education on school subjects and primary/secondary education-related
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Research Institution | Kamakura Women's University |
Principal Investigator |
初澤 宣子 鎌倉女子大学, 児童学部, 講師 (30909049)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
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Keywords | 読書 / 文学教材 / 心理教育 |
Outline of Research at the Start |
我が国における心理教育の学校現場への導入は、既存の教科教育との接続が課題となっている。一方で海外では、心理的効果が期待される文学教材リストが作成され、それを参照することで教師やスクールカウンセラーによる心理教育実践が展開されている。そこで申請者は、既存の教科や教材の中でも、国内外で心理的効果が認められている読書に着目し、日本独自の文学教材リストの作成を目指す。 本研究を通して作成する文学教材リストは、将来的な心理教育を兼ねた教科教育の実践につながるだけでなく、読書の心理教育的活用による指導や支援に役立つ基礎資料として、学校教育以外の領域にも汎用性を有するものになると期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究全体の目的は、読書の心理教育的活用のために、日本独自の文学教材リストを作成し、その有用性を検証することである。3か年の研究期間の2年目にあたる令和5年度では、心理教育的活用ができる日本版文学教材リストの試作版考案を中心として研究を遂行した。 まず、令和4年度に行った質問紙調査で収集したデータについて分析を進めた。その結果、文学教材71作品を読んだ際の児童の感情体験(評価感情・物語感情・審美感情・自己変容感情)には、教材差・性差があることを明らかにした。また、読書の前後で抑うつ・攻撃性・共感性といった心理的効果に違いが生じること等について示唆を得た。さらに、感情体験と心理的効果の関連についても検討した結果、評価感情が抑うつの低減、物語感情が共感性の向上、自己変容感情が攻撃性の低減にそれぞれ寄与することが推察された。以上の分析の過程で得た知見の一部については、日本教育心理学会及び日本学校心理学会において発表した。引き続き、関連学会誌への論文投稿の準備、研究成果公表のためのWebサイトの整備を進めている。 次に、分析結果を踏まえて、文学教材リストの試作版を考案した。具体的には、著者やあらすじ等の文学教材の基本情報、感情体験のプロフィールや性差、期待される心理的効果について整理し、教材別にまとめた。プロフィールは各感情体験の得点を標準化したものを採用したが、いわゆる定番教材は基準値に依る傾向があること等、文学教材の選定や指導上の配慮に役立つ示唆を得た。 今後は、試作版リストの実践的有用性を検証するために、教師やスクールカウンセラーを対象として活用可能性等に関する面接調査を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度の質問紙調査で収集したデータについて分析を進め、文学教材リストの試作版を考案できたことは計画通りの進行である。しかしながら、当初予定していた倍以上のデータが収集できたことで、分析に想定以上の時間を要した。また、コロナ禍から平常時の学校活動に移行し、学校行事等の再開によって、教師やスクールカウンセラーとの面接調査の日程調整が難航した。面接調査は来年度に遂行可能な範囲ではあるが、調査分析を優先して行ったために、計画全体としてやや遅れていると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、研究機関の最終年度に当たることから、東京都及び福島県内の教師及びスクールカウンセラーを対象として、その有用性に関する評価を求める面接調査を完了する。それに基づき、試作版リストを修正し、日本文学教材リストを完成させる予定である。
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