養育態度の解剖 -養育の質の世代間伝達と子どもの脳発達の関連を探究する-
Project/Area Number |
22K13809
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 10020:Educational psychology-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松平 泉 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (10878440)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2024: ¥130,000 (Direct Cost: ¥100,000、Indirect Cost: ¥30,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | トリオ / 養育態度 / 世代間伝達 / 脳画像 / 発達 |
Outline of Research at the Start |
親の養育態度には親自身が受けた養育の質が反映される(世代間伝達が起こる)場合があるが、世代間伝達の有無がその養育態度の受け手である子どもの表現型にどのように寄与するかは明らかにされていない。本研究は、親子トリオ(父・母・子)を対象とした脳画像解析により、養育態度の世代間伝達の有無と子どもの脳の構造や働きの関連を検討する。従来、養育態度は子どもの発達の規定因として扱われてきたが、本研究ではこれを「親の行動形質」として捉え直し、その成り立ちの違いが子世代の発達の個体差に寄与する可能性に切り込む。本研究の発展は、親と子、さらに次世代へと、精神的健康と幸福を連綿と繋ぐ社会の構築に貢献すると期待できる。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、小学5年生から中学3年生の子どもとその両親のトリオを対象とした新規データの取得を進めた。51トリオの脳画像を撮像し、親の養育態度や、親自身の幼少期の被養育体験に関する評価尺度への回答を得た。2022年度の取得分と合わせた127トリオについて、質問紙検査の回答の電子データ化を完了し、養育態度の世代間伝達の有無と子どもの心理的適応の関係性を検討した。肯定的な養育態度の世代間伝達の有無によって、2022年度に行った解析と同様の手順で参加者を4群(肯定的伝達群・否定的伝達回避群・否定的伝達群・肯定的伝達断絶群)に分類し、子どもの心理的適応の比較を行った。父親が肯定的伝達群と否定的伝達回避群に含まれる場合、子どもの向社会性が他の群よりも有意に高かった。一方、母親が肯定的伝達断絶群に含まれる場合、その子どもは他の群の子どもよりも心理的不適応を示しやすいことが確認された。今後は脳画像解析も加え、上記の結果に対する考察を深めることが必要である。なお、2023年度は本研究の母体となるプロジェクト『Transmit Radiant Individuality to Offspring(TRIO)study(日本語名:家族の脳科学)』の目的やデータ取得手順等をまと めたプロトコル論文をFrontiers in Psychiatry誌に発表した。プロトコル論文の発表は、本研究を含めTRIO studyの学術的重要性や独自性を公に提示できる点に意義がある。親子トリオを対象とした脳科学の研究プロジェクトは世界的にも稀有であり、論文発表後は海外の研究者や国内企業から問合せを頂き、将来の共同研究の可能性を見出すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は本研究の主な対象である小学5年生から中学3年生の子どもとその両親で構成される親子トリオ47組のデータ取得を行い、前年度までの取得分を含め126トリオのデータを揃えることができた。具体的な成果には未だ至っていないものの、脳画像の前処理と質問紙検査の回答のデータ化を進め、計画していた解析の実施に向けた準備を整える期間となった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに取得したデータを活用し、養育態度の世代間伝達の有無と子どもの脳の構造的・機能的特徴の関連性を検討する。なお、TRIO studyでは高校生以上の子どもと両親のトリオのデータも取得している。小学5年生から中学3年生の子どもと父母のトリオとは実施している質問紙検査に若干の違いがあるが、それぞれの年齢層のトリオに対して同じ手順の解析を行うことができる。そこで、養育態度の世代間伝達と子どもの脳発達の関連性が、子どもの発達段階によって異なるか否かも検討する。これらの分析により、養育態度の成り立ちの違いが子どもの発達の個体差に寄与する可能性について、新たな知見を提示する。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)