Project/Area Number |
22K13821
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 10020:Educational psychology-related
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Research Institution | Musashino University (2023) Rissho University (2022) |
Principal Investigator |
吉野 優香 武蔵野大学, 人間科学部, 講師 (10883746)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 感謝感情 / 負債感情 / ゆるし |
Outline of Research at the Start |
他者に感謝することは対人関係やウェルビーイングなどに良い効果を及ぼすとされるが,本邦の感謝介入研究は,その効果を被援助時の申し訳なさである負債感情や自尊心への脅威に起因し示せていない。本研究の目的は,感謝感情とそれに付随する負債感情および自己へのゆるしに着目した介入手法の検討に基づく感謝トレーニングの開発である。適切な返報行動の遂行が負債感情を低減することや,自己へのゆるしが自尊心への脅威を受けにくくすることを実証し,介入手法の改善につながる知見を得ることで,感謝介入手法の効果検証や感謝トレーニングの開発を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,感謝感情とそれに付随する負債感情および自己へのゆるしに着目した感謝介入手法の検討と新たな感謝トレーニングの開発を目的としている。実施計画全体の遂行過程において2023年度は,感謝介入手法の改善につながる知見創出の段階と,感謝介入手法および感謝トレーニングに用いる資料作成の段階を進めた。 2023年度に実施した研究は2点である。1点目の研究では,自己へのゆるしによって負債感情や感謝感情を報告する程度が異なるとする仮説の検証を目的とした。大学生を対象に,日常生活における負債感情が付随する感謝感情について縦断調査を行った。その結果,自己へのゆるしの程度は,感謝感情と負債感情の報告の程度に影響を与えているとは言えないことが明らかになった。1点目の研究は,感謝介入手法の改善につながる知見創出の段階において,情報量が多い縦断データの分析手法等の選択を確認し,この結果について精査する必要性と,自己へのゆるしへの着目を再考する意義をもたらした。2点目の研究は,社会に共有される感謝すべき規範の有無および感謝すべき状況の具体例を明らかにすることを目的とした。15-99歳までの調査会社に登録している人を対象とし,感謝すべき状況に関する質的な情報を収集するパネル調査を行った。調査は年度末に実施されたため,報告記載時にはスクリーニングを行っている状況である。分析結果は,感謝介入や感謝トレーニングの際に提示する感謝場面として活用予定である。 成果報告は,紀要論文が1件掲載され,国内学会にて2022年度に実施した研究を1件発表し,2024年度の国際学会での発表が1件採択された。紀要論文では,心理学分野における感謝教育についてレビューし,感謝トレーニングの検討につながる情報の整理をした。なお,2023年度に実施した研究成果の発表は,2024年度での学会発表を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度は,感謝介入手法の改善につながる知見創出を目的としたオンライン実験の実施,感謝介入研究の準備,実施,および感謝トレーニングの準備を進める予定であった。 順調に進捗している点は3点ある。第1に負債感情が付随する感謝感情とゆるし傾向性の関係を示すことができたこと,第2に感謝介入手法および感謝トレーニングに用いる資料へとつながる感謝すべき状況に関するデータが得られたこと,第3に心理学分野における感謝教育に関するレビュー論文が紀要論文に掲載されたことである。感謝介入手法の改善につながる知見が得られ,介入やトレーニングで用いる予定の感謝すべき場面の候補が得られたことは,感謝介入手法や感謝トレーニングの検討に有益な成果であった。 その一方で,オンライン実験と感謝介入研究の実施に至らなかった点において進捗に遅れがある。オンライン実験に至らなかった理由は,後述する研究代表者の研究環境の変化である。感謝介入研究の実施に至らなかった理由は,2023年度に実施した縦断調査の結果から,自己へのゆるしへの着目を再考する必要が生じたことである。 研究遂行に影響を及ぼしたものとして,研究環境の変化がある。研究代表者は2023年度に所属大学を異動し,新たに着任した所属大学において新設学部の開設準備に従事することになったため,新設学部の開設準備に伴う各種業務が発生し研究課題遂行に十分な時間を使うことができなかった。その結果,収集済みのデータの分析や新たな研究の実施などが滞り,当初の予定よりも研究全体が遅れてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は,本研究課題の最終年度となるため,感謝介入研究の実施や,感謝トレーニングの教材のまとめ,およびこれまでの研究知見を精査し論文投稿等の成果報告を行う。 本研究課題の計画は,感謝介入手法の改善につながる知見創出を目的とした研究と改善後の感謝介入手法の効果確認を目的とした研究,新たな感謝トレーニングの実践を目的とした研究で構成されていた。2024年度に実施する「感謝介入手法の改善につながる知見創出を目的とした研究」は,未検討の課題である自尊心と感謝感情,負債感情の関係を検討する縦断調査を実施する。 次に,「感謝介入手法の効果確認を目的とした研究」では,感謝の記録と参加者自身が実行した向社会的行動の記録を併用した感謝介入手法の効果を検討する介入研究を行う。負債感情が向社会的行動の実行により低減するとした仮説も,オンライン実験ではなく本介入研究により合わせて検討する。 最後に,「新たな感謝トレーニングの実践を目的とした研究」は,2023年度に得た自由記述のデータを基にした教材を作成する。 また,研究成果は,国内および国際学会にて発表を行い,本研究課題全体の成果は報告書にまとめる。
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