Project/Area Number |
22K13828
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 10030:Clinical psychology-related
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Research Institution | Saitama Gakuen University |
Principal Investigator |
佐藤 洋輔 埼玉学園大学, 人間学部, 講師 (50836864)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | LGB / 性的指向 / ウェルビーイング / ウェルビーイング療法 / セイバリング / ポジティブ心理学 |
Outline of Research at the Start |
本研究では性的指向の社会的マイノリティであるレズビアン,ゲイ,バイセクシュアルについて,従来検討されてきたネガティブな側面ではなく「日々のポジティブな体験」に焦点を当てて,ウェルビーイング療法の実践を目指す。 ウェルビーイング療法とは日々のポジティブな体験に対するモニタリングを中心とした心理療法であり,LGBの健康的な側面をより増進する,予防的な効果が期待される。本研究では,LGBのアイデンティティと関連したポジティブな体験の内容や,体験に対するポジティブなコーピング反応も取り入れてモデル構築を行い,LGBに最適化されたウェルビーイング療法の開発および効果検討を行うことを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
近年,多様性の重要な側面の一つとして性的指向が注目されつつある。社会全体で「性の多様性」を尊重する動きが進む一方,性的指向の社会的マイノリティであるレズビアン,ゲイ,バイセクシュアル(LGB)は,社会からの偏見や差別によって身体的・精神的健康に問題を抱えやすいことが多くの研究で指摘されている。日本においてもLGBは異性愛者よりも多くの対人ストレスを経験することや,男性当事者における自殺リスクの高さなどが報告されており,LGBが生きづらさを感じる状況は解決されていない。 こうした問題に対して, 従来の性的マイノリティ研究では心理的苦痛や不適応といったネガティブな側面に焦点を当てたものが多く,当事者の強みやポジティブな体験といったポジティブ心理学的な視点からの検討が不足していることが指摘されている。ポジティブ心理学的なアプローチについては幸福感やウェルビーイングに対する様々な効果が報告されているものの,LGBに対する適用可能性については未検討なままである。 そこで,本研究ではLGB当事者に対して有効な心理療法を検討するべく,性的指向と関連したポジティブな体験に焦点を当てたウェルビーイング療法の実践について,一連の研究を行なう。当該年度においては,LGB当事者が日常においてどのような性的指向と関連したポジティブな体験をしているか,そしてその体験に対してどのように反応しているかを明らかにすることを目的として,半構造化面接を用いたインタビュー調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度においては,LGB当事者に対する半構造化面接を用いたインタビュー調査を実施し,現在調査を継続している段階である。本調査においては,当事者コミュニティに対する依頼および当事者間のソーシャル・ネットワークを介したスノーボールサンプリング法を通じて調査協力者の募集を行っている。社会的マイノリティを対象としている点で,調査協力者の確保が難しく,当該年度においてはインタビュー調査の実施人数が目標としているサンプル数には達していない。しかしながら,より幅広い特性や経験,また年齢層に対してインタビューを実施することにより,未だ知見が十分に蓄積されていない国内のLGB当事者の生活や心理状態について,社会全体の理解を増進する価値のある知見を提供することが可能であると考えられる。そのため,2023年度においても継続してデータの収集を行い,ポジティブ心理学的視点から当事者の心理プロセスについて詳細な分析を行った上で,LGB固有の体験に焦点化した心理療法の実践に向けて研究を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度においては,LGB当事者を対象としたインタビュー調査の結果を受けて,当事者のウェルビーイングに影響をおよぼす日常的な体験の種類について分類し,日常のポジティブな体験がウェルビーイングに影響を与える一連のプロセスについて仮説モデルを提唱する。そして,仮説モデルに基づきLGB当事者200名程度を対象とした縦断調査を実施することにより,性的指向と関連したポジティブな体験がウェルビーイングに影響を及ぼすプロセスについて実証することを目的とする。 2024年度においては,実証された心理プロセスに基づき,性的指向と関連したポジティブな体験と,一般的なポジティブな体験のそれぞれを対象としたウェルビーイング療法を実践し,当事者固有の体験を扱った心理療法が当事者のアイデンティティ形成,および日々のウェルビーイングの向上に対してどのような効果をもたらすかについて検討する予定である。
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