Project/Area Number |
22K13935
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 12020:Mathematical analysis-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 優決定問題 / 形状微分 / 陰関数定理 / 楕円型偏微分方程式 / 分岐解析 / 二相問題 / 対称性 / 形状間関数 / 形状最適化問題 / 二相 |
Outline of Research at the Start |
介在物を含む母体からなる複合媒質を考える. このとき, 楕円型偏微分方程式における優決定問題を考える. 本優決定問題は, 介在物と母体が同心球の時に可解ではあるが, 任意の介在物と母体の組に対して可解であるとは限らない. 本研究では, 本優決定問題を可解とする介在物と母体の組のことを最良組と呼ぶこととし, 最良組の幾何学的な性質に関する解析を行う. さらに, 最良組の族に焦点を当て, 最良組の族のなす枝の位相構造を考察する. 特に, 分岐現象及び枝の大域的な挙動を研究する.
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度報告する主な研究成果は以下のものである。 ① 論文[C.,J.Differ.Equ.,2024]では、パラメータが付いた形状汎関数の臨界形状の局所的な挙動を明らかにする手法を提案した。先行研究では、二相Serrin型優決定問題の摂動解の局所存在とねじり剛性汎関数に対する複合媒質の退化性の関係が指摘されていたが、この論文では一般論の構築に成功した。 ② 論文[C.,J.Geom.Anal.,2024]では、ある連続回転群に対して不変な優決定問題の解の研究を行った。具体的には、形状汎関数の臨界形状として定式化される優決定問題の非退化な解は優決定問題と同じ対称性を共有ことを示した。その結果、二相Serrin型優決定問題の非退化な最良母体が与えられた介在物の対称性を遺伝することが分かった。 ③ 論文[C.,Interfaces Free Boundaries,掲載決定(2024)]では、二相複合媒質と三相以上の多相複合媒質との違いを明らかにした。一相、二相の場合と異なり、k相(k≧3)の場合には、境界に課されたk個の優決定条件を満たす球対称でないk相複合媒質が存在することが示された。 ④ 論文[C.,Math.Mag.,掲載決定(2024)]では、形状最適化問題の研究に不可欠な「形状微分」を用いて、ピタゴラスの定理や正弦定理、余弦定理の別証明が与えられた。 さらに、G. Poggesi 氏(西オーストラリア大学)と共同で、内部からの有限の観測データをもとに、複合媒質の球対称性に関する研究に取り組んだ。現在、二相複合媒質の場合において完全な特徴づけに成功し、その研究成果を学術雑誌に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二相Serrin型優決定問題及び関連する多相型優決定問題における非自明解の存在について考察し、精密な局所解析を行うことができた。また、形状汎関数の臨界点(臨界形状)として定式化できる優決定問題(変分型優決定問題)の解の近傍における局所的な挙動はその解の退化性を用いて特徴づけられることが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
介在物と母体からなる複合媒質における楕円型優決定問題(二相Serrin型優決定問題)の非対称解(非自明解)とこれらが成す族における、より精密な解析を行うことを今後の研究の目的とする。特に、非自明解の大域的解析に重点を置いて研究を進める予定である。具体的には、以下の課題に挑戦する予定である。 ① 定量的Cauchy-Kovalevksayaの定理とBanach空間上の陰関数定理を組み合わせることによって、解析的曲面の枠組みにおいて、本優決定問題に対する逆問題である「内部問題」の局所一意可解性を証明する。 ② 任意に与えられた一般の開集合(連結とは限らない)を介在物とした解の構成に努める。 ③ 介在物を固定した上で、解(自由境界)の族が成す(葉層)構造を考察する。 ④ 界面エネルギー(Kapitza抵抗)を伴う複合媒質におけるSerrin型優決定問題に既存の結果を拡張する。 ⑤ 本問題で培ったノウハウを他の自由境界問題(流体力学における定常渦の自由境界問題、ポテンシャル論に由来する自由境界問題等)に適用する。
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