非線形消散型偏微分方程式に対する解の解析性と大域挙動の解明
Project/Area Number |
22K13937
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 12020:Mathematical analysis-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 拓也 東北大学, 理学研究科, 特任研究員 (80910835)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2026: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 非線形シュレディンガー方程式 / 時間大域解 / 実解析性 / 初期値境界値問題 / 時間大域挙動 / 適切性 / 終端値問題 / 消散型非線形シュレディンガー方程式 / 非線形消散型偏微分方程式 / 解析性 / 大域挙動 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、消散構造を伴う非線形シュレディンガー方程式と非消散型の非線形シュレディンがー方程式に対する解の大域挙動の差異を考える。マクロな流体の運動には流体間に消散性が伴い、系が自然に消滅していく。この法則がミクロな物理スケールにおいてどれほど通用するのかを数学的に問う。そのため消散型の非線形偏微分方程式の諸問題について、時間大域的な解の存在とその時間減衰評価を確立し、減衰オーダーの最適性とその状況を生む解の形状解析を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
半直線上の非線形シュレディンガー方程式の初期値境界値問題を考察した。境界となる原点では、解の空間一階微分と自身の冪乗が釣り合うNeumann境界条件を課している。境界の非線形項がゲージ不変でない場合は、非線形項の臨界指数が非線形熱方程式の解の挙動を特徴づける藤田臨界指数の役割を担い、初期値境界値問題の解が有限時間内に原点で質量集中を起こすことがわかった。この結果はNonlinear Anal., 230 (2023), no. 113229 に掲載されている。 シュレディンガー方程式の時間可逆性を利用し、終端値問題の枠組みでBarab-Ozawa臨界指数を持つ消散型非線形シュレディンガー方程式に対して、最適な減衰レイトを持つ解の存在を空間一次元の下で示した。この結果はAsymptot. Anal., 129 (2022), 505-517 に掲載されている。臨界次数を下回る結果についてはNoDEA Nonlinear Differ. Equ. Appl., 29 (2022), no. 41 に掲載されている。 消散型非線形シュレディンガー方程式に時間減衰磁場の効果が備わった場合、磁場の減衰度により解の質量減衰・非減衰を分かつ非線形臨界指数が変動することがわかった。この結果はJ. Differential Equations, 345 (2023), 418-446 に掲載されている。 臨界次数を持つ消散型非線形シュレディンガー方程式に対して、初期条件の大きさに関係なく大域存在および高い微分の評価を一定の消散条件のもとで確立することが可能となった。この結果はJ. Evol. Equ. (2022), no3 Paper No. 59に掲載されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
消散型非線形シュレディンガー方程式の初期値問題において、実解析的なクラスで解の時間大域適切性を示すなど順調な成果を得ている。従来の結果では、実解析的な解の収束半径が時刻無限大で潰れてしまう可能性があったが、非線形消散効果を考慮することで、その収束半径が時間一様に下から持ち上がることを示した。これにより、解析的な解特有の時間大域挙動が明らかになり、初期値の持つ正則性と時間無限大の解の減衰レイトが密接に関わることが判明した。解の実解析性が時間一様に保たれることで冪級数展開が可能となり、これまで以上に詳細な解の時間大域挙動の導出が期待できる。非線形シュレディンガー方程式の初期値問題に対して、高階微分の先験評価を得ることが難しいといった理由から、解析的なクラスで大きなサイズを持つ解の時間大域存在を示すことは困難であった。しかし、線形部の分散性と非線形消散性が解析的に釣り合うある種の臨界状況では、解の質量減衰が生じることで非線形項が摂動として扱え、大きなサイズを持つ解を解析的なクラスの上で時間大域的に構成できることを示した。解の漸近形に対する精密な各点評価を行うことで高階微分に対する解の先験評価が得られたことにより、解析的なクラスの拡張であるGevreyクラスといった無限階微分可能なクラスにおける解の長時間挙動がわかり始めている。さらに最適な質量減衰をもつ解が終端値問題の枠組みで存在することがわかった。一方で初期値問題の枠組みでは解の質量減衰の最適性については十分に明らかにはされていない。
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Strategy for Future Research Activity |
臨界次数を持つ消散型非線形シュレディンガー方程式の初期値問題において、解の最適な質量減衰レイトを導く上で必要となる技術の確立を目指す。対応する解の高階微分はその高周波成分により制御されるが、この高周波成分の分布が時間大域挙動にどの程度影響を与えるのかを明確にする。高周波成分が時間一様に指数減衰する解(空間変数で実解析的)に対してはその質量減衰レイトがほとんど最適となり、予想される最適レイトとのずれは二重対数分であることがわかっている。次年度以降は時刻無限大と時刻0近傍を対応させる擬等角変換といった方程式の持つ対称性を利用し、実解析的なクラスよりも狭い空間で解の時間局所適切性、あるいは非適切性を明らかにすることで二重対数分のずれが本質であるかを見究める。引き続き消散型非線形シュレディンガー方程式の解に対する高階導函数の制御と時間大域挙動の精密化を目指し、得られた解析手法をより一般の消散-分散型偏微分方程式や連立形の問題、初期値境界値問題、磁場付きの問題に適用させる。
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Report
(1 results)
Research Products
(14 results)