Project/Area Number |
22K13976
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 13010:Mathematical physics and fundamental theory of condensed matter physics-related
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
高橋 淳一 早稲田大学, 理工学術院, 講師(任期付) (60732211)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | rigged Hilbert空間 / 量子多体系 / テンソル積 / 核スペクトル定理 / Rigged Hilbert空間 / 量子力学 / 非エルミート / PT対称性 / スペクトル定理 / 非エルミート量子系 / Gelfandの三つ組み |
Outline of Research at the Start |
量子力学の数学空間として知られるHilbert空間は非有界作用素を扱うことができず超関数も定義されていないため、量子力学をきちんと記述できない。この困難を解消するため、rigged Hilbert空間(RHS)と呼ばれる三つ組み空間が提案された。この空間により、教科書レベルの量子力学は数学的に基礎付けされることとなった。しかしながら、その後の進展はほとんどない。一方で、量子論は着実に発展している。この解離により、これらを記述する位相空間は不在となっている。申請者はこれら新たな量子理論の舞台となるRHS、もしくはそれをさらに発展させた三つ組み空間の構築を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
量子力学を記述する空間としてvon NeumannのHilbert空間が有名である。しかし、この空間は厳密な意味で非有界作用素を扱うことができず、超関数も扱えないため、Diracのブラケット定式化を行う上で力不足である。この困難を解消するために、rigged Hilbert空間あるいはGelfandの三つ組みと呼ばれる、Hilbert空間を拡張した位相ベクトル空間の組が提案された。この空間により、Diracのブラケット定式化は数学的に基礎づけられることとなった。一方で、実験技術の進歩により非エルミート量子系が実現されるなど、量子物理学が扱う対象は確実に広がってきている。しかしながら、これらの系では適切な位相ベクトル空間が欠けている。そこで本課題では、量子多体系や非エルミート量子系における位相ベクトル空間であるrigged Hilbert空間の構築を行う。 本年度は量子多体系に対するrigged Hilbert空間の構築を行った。量子多体系に適したrigged Hilbert空間の構築は、量子統計力学や場の量子論の基礎空間を議論するうえで必要不可欠となる重要な課題である。量子多体系に適用可能なテンソル積のrigged Hilbert空間は、Maurinがその基礎となる定理を導いた [K. Maurin, 1968]。本年度は、このMaurinの定理をMadrid [R. Madrid, Eur. J. Phys. 26, 287 (2005)] が提案したrigged Hilbert空間の対称形式に拡張した。さらに、射影演算子を用いてボソン・フェルミオンを扱うN重対称・反対称的なrigged Hilbert空間の構築を行い、核スペクトル定理を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は2024年度で行う予定の量子統計力学の準備段階である相互作用のない量子多体系に対するrigged Hilbert空間の構築に取り組み、その定式化を行うことができた。その結果は、国内会議・国際会議で発表し、arXivおよび論文誌に"General Construction of Bra-Ket Formalism for Identical Particle Systems in Rigged Hilbert Space Approach"という題の論文を投稿した。以上のことから、想定通りにプロジェクトが進捗したと判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は量子統計力学を記述する3つ組空間を構築する。量子統計力学はHilbert空間でなくLiouville空間上の理論となる。そこで、Liouville空間を中心に置いた3つ組空間(rigged Liouville空間)の構築を行う。rigged Liouville空間の構築に関しては先行研究 [W. Liu and Z. Huang, Int. J. Theor. Phys. 52, 4323 (2013)] があるが、この論文では構築に失敗している。本研究では、最初からLiouville空間を想定するのではなく、まず、倍加Hilbert空間を定義することで、純粋系へとマップし、その空間上のrigged Hilbert空間の構築を行う。倍加空間であれば多体系のrigged Hilbert空間と同様の議論ができると見込んでいる。倍加空間形式は理論のもつ対称性が非常に見やすくなるというメリットがある。先行研究では、理論が持つ対称性を十分考慮していなかったため、最適な空間をとることができなかったと考えられる。その後、倍加空間形式からLiouville空間へと形式を戻し、数学的に適切なrigged Liouville空間を定義する。
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